撮影日記


2008年11月23日(日) 天気:晴

やはり宮島は混んでいた

今日は,世間的には3連休の2日目。しかも,天気は晴れ。テレビやラジオの報道風にいえば,「絶好の行楽日和」である。
 なんといっても,紅葉の季節。それをふまえての「行楽日和」なのである。それに加えて,天気予報では明日は雨。明日は雨となれば,「行楽」には,今日しかないということである。
 山間部の紅葉は,先週までにほぼ末期を迎えている。いま,紅葉を楽しめる場所は,どちらかというと平地,とくに海沿いの地域である。その典型的な場所は,やはり宮島であろう。
 ただ,このような条件がそろっている日の宮島は,きっと混んでいる。絶対混んでいる。激しく混んでいるであろうことは,火を見るより明らかである。だが,紅葉の時期の宮島には,もう2年ほど訪れていないし,2年前に訪れたときは,重要なお客さまのご案内が主目的のうえ,あいにくの雨模様だった(2006年11月26日の日記を参照)。
 だから,どうしても今日は,宮島に紅葉を見に行きたくなった。まあ,たまには,観光地にふさわしい混雑を楽しむのもおもしろいことだろう。宮島は,「日本三景」の1つという,国内的に超一級の観光地である。いや,いまや,世界遺産の1つという,世界的な観光地なのである。

こんな日だから,本気で写真を撮る余裕はたぶんない。とくに,三脚はもっていかないのが賢明だ。現地も混雑しているだろうから,三脚は単純に迷惑。それ以上に,道中の電車や船のなかでは,荷物としての三脚も迷惑な存在になりかねない。
 もちろんカメラはもって行くのだが,三脚を使わずに,お手軽に撮ることだけを考えることにした。そこで選んだカメラは,Mamiya Universal Pressである(笑)。いつもは三脚をたててかっちり撮るために使うカメラであるが,今日は手もちで使うつもり。ほかでもないが,途中まで撮影済みのフィルムを使いきってしまいたいのである。だからレンズも1本,標準レンズのMamiya-sekor 100mm F3.5だけにする。

案の定,電車は混んでいた。
 横川駅でちょうどやってきた快速電車は,すでにドアに人が押しつけられているくらいの混雑である。横川駅で待っていた人たちの多くが,さらに乗りこもうとするので,混雑はさらに激しさを増す。それを見て,すぐ後にやってくる次の各駅停車の電車に乗ることにしたところ,混雑の具合ははるかに緩やかなものだった。さらに,ちょうど立っていたところの座席が空いたものだから,ちゃっかり着席することもできてしまった。
 大げさかもしれないが,ちょっと考えて乗るようにするだけで,ずっと快適に電車に乗れることがある。「それに乗らなければ間に合わない」ときは,そういう選択をする余裕はないだろうからしかたないが。

電車だけでなく,宮島口から宮島へ渡るJR連絡船も混んでいた。
 船に乗ると多くの人は,船室内の座席を確保しようとする。そうでない人は,後部のデッキへ出て,眺めのよさそうな場所を確保しようとする。そのとき,宮島へ向かって右側に人が集まる傾向が見られる。たぶん,その方角に厳島神社の大鳥居が「見えている」からであろう。
 しかし,その船は,出港すると180°向きを変えて,宮島へ向かう。JR連絡船は,大鳥居沖を通過するのがセールスポイントだが,宮島桟橋から宮島口桟橋,大鳥居沖,そして宮島桟橋へと反時計回りに進むので,大鳥居がよく見えるのは船の右舷になる。それは,宮島口桟橋で乗りこむときの左側だ。
 大げさかもしれないが,船に乗るときも少し考えるようにすれば,より快適な旅を楽しむことができるのだ。

さて。とにもかくにも,宮島到着。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 100mm F3.5, EPN

道中がこれだけ混雑しているということは,宮島もそれだけ混雑しているということである。宮島桟橋から厳島神社まで,ずらずらずらと人の列。干潮の時刻も近いため,大鳥居の近くまで潮が引き,歩いて砂浜を渡ることができる状態。砂浜でも,大鳥居の足元へむかう人の列が途切れることがない。

携帯電話機のディジタルカメラ機能による。

厳島神社を越えると,いくぶんか人が少なくなる。そんな砂浜の片隅に,小さなテントがあった。遠目には,臨時に設けられた救護所か迷子案内所くらいにしか見えないものだが,ここでNHKラジオの公開生放送がおこなわれるとのこと。ゲストとして,著名な俳優さんがこられている(俳優さんの姿はぼかしておく)。
 著名な人がこういう場に来られると,その人を見ようと,それなりの数の人がそこに集まることが予想されるものだが,実際にはあまり人が集まっていない。テレビの公開生放送なら,テレビカメラが多数並んでいたりしてそれなりに目立つものだろうが,ラジオだとそんなには目立たないのかもしれない。また,このテントのまわりに「NHKラジオ公開放送中」のようなノボリがたっているわけでもない。
 全体に混雑しているように見える宮島で,じつはこの周辺がもっとも空いていたのではないだろうか。シカも人混みを尻目に,秋の日差しをのんびり浴びているのだった。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 100mm F3.5, E100VS

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