撮影日記


2008年11月16日(日) 天気:くもり時々あめ

ステレオ写真をつくる

2008年11月2日の日記に,「ステレオ写真は楽しい」という意味のことを書いた。
 しかし,私は,あまりステレオ写真を撮っていない。
 楽しいのに,なぜ撮らないのか?それは,「面倒」だからである。

ステレオ写真を撮るには,いろいろな方法がある。
 たとえば,2台のカメラを並べて,撮る方法がある。それぞれで左右の眼に相当する写真を撮ればよい。同じカメラ,同じレンズが用意できるなら,そのカメラとして最高の画質の写真が得られるだろう。
 カメラが1台でも,ステレオ写真を撮ることはできる。被写体が静止したものであれば,たとえば接写用のスライダを利用してカメラを移動させることで,左右の眼に相当する写真を撮ることができる。
 しかし,もっともポピュラーな方法は,「ステレオカメラ」を使うことではないだろうか。私が使うステレオカメラは,1950年代のKODAK STEREO CAMERAというものだ。このカメラを選んだ理由は,たった1つ。同時代の他機種にくらべて,手ごろな価格で見つけたからである(笑)。

KODAK STEREO CAMERAは,リアリスト判とよばれるタイプのステレオカメラである。リアリスト判のカメラは,パトローネ入り35mmフィルム(135フィルム)を使用する。そこに,1コマの大きさがほぼ正方形の23mm×24mmで,3コマごとに右と左の画像を記録するようになっている。ステレオ写真は,2枚の写真を並べて鑑賞することになるので,あまり横に長くない写真の方が見やすくなる。またこのサイズは,左右のレンズの距離が人間の両眼の距離に近いので,とても合理的なフォーマットであるといえるだろう。

リアリスト判のステレオカメラは,ホワイト社のステレオリアリストを筆頭に,1950年代を中心にいくつもの機種が登場している。現像所でも,かつてはリアリスト判に対応した現像サービスをおこなっていた。いや,フィルムは135フィルムなのだから,現像そのものの処理は,なにも変わらない。問題は,現像後の処理である。
 ステレオ写真は,それを立体視しなければ意味がない。立体視を楽しみたいのならば,裸眼立体視を練習して習得すべきであるが,立体視用のビューワを利用すれば簡単に見ることができる。立体視用のビューワは,簡単に言えば左右の目に対応して2つのルーペを並べてあるだけのものだ。それを使って鑑賞するのだから,ポジフィルムをそのまま見るのがもっとも適している。
 リアリスト判がよく使われていたころには,現像所で,立体視しやすいように2コマ1組でマウントするサービスがおこなわれていたのである。

ただ,私は,そのサービスを利用したことがない(^_^;

いまは,リアリスト判のマウントサービスはおこなわれていない。また,リアリスト判のマウントも,一般には市販されていないようだ。だから,従来のように,ポジフィルムをビューワで鑑賞しようとするならば,自分でマウント作業するのみならず,マウントそのものも自作しなければならないことになる。言うまでもないが,それは,とっても面倒なことだ。

マウントが入手できないと,ポジフィルムを立体視するような楽しみ方ができない。そこで私は,左右の画像をL判にプリントして鑑賞するようにしている。実は,L判に2コマを配置すると,ちょうど裸眼立体視がしやすい大きさになってくれる。
 ただ,このプリントを得る手順も,かなり面倒なものである。

まず,フィルムをスキャナで読みこむ。フィルムを切断していないなら,必要な2コマが含まれるように,4コマまとめてスキャンすることになる。ちなみに私は,フラットベッドスキャナEPSON GT-9700Fを使用し,1200dpiで読みこんでいる。スキャンする範囲が広いので,読みこみにはそれなりに時間がかかる。これだけでも,とても面倒だ。
 読みこんだフィルムで必要なものは,両端の2コマだけである。だからまず,不要な中央の2コマは消去する。色補正などは,このときにあわせておこなうとよいだろう。
 ここまでの状態では,左目で見るべき画像が右側に,右目で見るべき画像が左側に位置している。このままでは,立体視ができない。だから,これを入れ替えてやる必要がある。

あとは大きさの調整だ。
 まず,並べた画像の左右の長さを,L判の長辺の長さ(127mm)になるように調整する。次に,画像の高さがL判の短辺の長さ(89mm)になるように,画像の余白をつける。
 このようにして作成したデータを,写真店の「デジカメプリント」サービスなどを利用して,出力する。こうしてできたプリントは,裸眼立体視で楽しむことができるようになるわけだが,ここまでくるのがいかに面倒か,ご理解いただければ幸いである。


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