撮影日記


2008年10月13日(月) 天気:晴

自分で現像するメリット

最近は,ディジタルカメラを使う人も増えたと思うが,フィルムを使っている人も,まだまだ多いはずだ。そして,フィルムの現像を,自分でおこなっている人も,決して少なくないと思う。
 そんなあなたに問いたい。

「なぜ,自分でフィルムを現像するのか?」

いろいろな回答があるだろう。たとえば,「自分で処理する方が信頼できる」「薬品の調合や処理手順などの最善を探究している」という研究熱心な方もあるだろうし,私のように「自分で処理するのが楽しい」というだけの方もあるだろう。
 ただ,私としては,自分でフィルムの現像処理をしたい大きな理由がもう1つある。

「変な大きさにカットしたフィルムを使いたい」

先日購入した「ナニワ・カラーキットN」は,135フィルム(24枚撮)およそ20本分の処理能力があるとのこと。ビックカメラでの販売価格は2520円だったので,フルに活用すれば1本あたりの現像代は126円となる。
 ただしコストを厳密に考えるならば,水道代やお湯をつくるための電気代・ガス代等も考慮しなければならない。また,フィルム1本を処理するには,準備や後片づけも含めれば,1時間くらいかかる。自分の収入等を「時給」に換算すると,フィルム1本あたりの処理コストはさらに高いものになるかもしれないが,余暇の時間を利用して処理する場合には,気にする必要もないだろう。
 現在,カラーネガフィルムの現像をラボに依頼するときの費用は,135フィルム(24枚撮)で500円くらいなので,やっぱり自分で処理するのは「安い」ことに違いはなさそうである。

ダイソーの「ネガ現像のみ」で105円というのが,いかに安いものであったか。「思い知るべし」なのだ。

いや,逆に考えれば。

ダイソーの「ネガ現像のみ」で105円というのは,どのようにして実現されていたのか。「推して知るべし」なのかもしれない・・・・・。

さて。
 ディジタルカメラにくらべて,フィルムを使う従来からのカメラは,製品寿命が長いといわれる。たしかに,50年前のライカやニコンなど,現在でも十分に実用になる。ただし,使うフィルムの規格がたまたま変わっていないから,現在でも実用になっているという事実は忘れてはいけない。
 かつて,さまざまな規格のフィルムが登場し,そして市場から消えていった。
 フィルムを入手できなくなったカメラは,ただの「置き物」にすぎない。
 このカメラも,合うフィルムが入手できなくなった例の1つである。

C.P.Goerz(ゲルツ) 「テナックス」(Vest Pocket TENAX)

後に合併してツァイス・イコンになる会社の1つ,ベルリンのC.P.Goerz(ゲルツ)製のTENAX(テナックス)というカメラである。私の手元にあるものは,およそ6cm×4.5cmの大きさの乾板ないしシートフィルム(アトム判)を使うもので,「Vest Pocket TENAX」とよばれているモデルだ。「TENAX」というカメラには,フィルムの大きさによっていくつかのバリエーションがあり,より大きな判のものとして,たとえば「Coat Pocket TENAX」というものがある。ともあれ,折りたためばポケットに収まる,というコンセプトのカメラである。
 現在,アトム判の乾板およびシートフィルムは,市販されていない。幸い,私の手元には,カメラ本体以外に乾板用のホルダとパックフィルム(シートフィルムが何枚かセットされたもの)のケースがあるので,現在のフィルムを適切な大きさにカットして,それに詰めて使うことができる。

乾板用ホルダと「さくら」パックフィルムのケース

ところで,この乾板ホルダとパックフィルムのケースは,微妙に大きさが違う。画面サイズは,乾板ホルダ4.0cm×5.7cm,パックフィルムのケース4.1cm×5.9cmで大差ない。しかし,余白も含めたフィルムの大きさは,乾板ホルダ4.5cm×6.1cm,パックフィルムのケース4.6cm×7.3cmとなり,パックフィルムのケースの方がかなり大きくなる。また,この大きさぎりぎりにフィルムをカットしようとすると,わずかなずれがあっても,フィルムが入らなくなってしまう。フィルムのカットと装填を,完全に暗黒の環境で,手探りでおこなわなければならないからだ。
 そこで,切りだしたい大きさよりも少し小さくカットした厚紙を用意し,これにあてがうことでフィルムをカットすることにした。

フィルムは使用期限が迫っているものがあったので,コダック「PORTRA160 VC」を使うことにした。以前,4×5判のフジ「NEOPAN 100」をカットして撮影したことはあったが,今回カットした「PORTRA160 VC」は120ロールフィルムである。フィルムが強くカールしているので,切るのも難しければ,装填も容易ではない。
 やはり,カットしてシートフィルムとして使うなら,素直に(4×5判などの)シートフィルムから切り出すべきなのだろう。

以前,「NEOPAN 100」で撮影したときに,「TENAX」に搭載されているレンズ「Dogmar 75mm F4.5」は,しっかりした写りをするレンズだという印象をもった。カラーフィルムでの撮影結果はどうだろうか。

C.P.Goerz TENAX, Dogmar 75mm F4.5, NEOPAN100
C.P.Goerz TENAX, Dogmar 75mm F4.5, PORTRA160 VC

画面中に斜めのラインが見えると思うが,これはフィルムが折れてしまったことが原因だ。ホルダに引き蓋を戻すとき,フィルムをひっかけてしまったようである。また,左上の方が異常にボケている。フィルムが激しくカールしていたのかもしれない。いずれにせよ,ロールフィルムを切り出したことが問題につながったのであろう。こういう場合は,すなおにシートフィルムから切り出すべきに相違ない。
 なお,現像には,「LPLカラーネガフィルム現像キット」(2008年10月04日の日記を参照)を使用している。「ナニワ カラーキットN」は,まだ開封していない。


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