撮影日記


2008年04月05日(土) 天気:はれ

工兵橋にて
サクラを撮る

3日続けて「楠木の大雁木」のサクラを撮影したので,今日こそは「工兵橋」へ行くことにした。
 工兵橋(図1)は,広島市東区の,本川から分かれたばかりの京橋川にかかっている。この橋について特筆すべきことは,木の床板をもつ吊り橋であるということだ。木の床板をもつ吊り橋は,広島市内にはたった2つしか残っていない。もう1つの宇賀大橋(図2)は,広島市内とは言っても,太田川の中流域,ほとんど安芸太田町との境界に近いところに存在する。だから,工兵橋を広島市内唯一の木の床板をもつ吊り橋と呼んでも,それに異を唱える人は多くないだろう。まあ「広島市内中心部に近い所にある」ということにすれば,これはこれで正確な表記になる。ちなみに宇賀大橋は自動車でも通行できる(それも魅力だったりする)のに対し,工兵橋は歩行者用となっている(自転車は通れるようであるが)。
 工兵橋のすぐ西,祇園新道の橋は「新こうへい橋」とひらがなでの名称になっているようだが,「工兵橋」という名称は,旧・陸軍工兵隊に由来するものである。たとえば大正14年測図の地形図を参照すれば,この橋を渡った北側には,「工兵作業場」が存在していることを読み取ることができる。ちょうど,JRや国家公務員の住宅のある敷地がそれに該当する場所のようだ。かつての軍用地であることから,ずっと国有地だったというわけだろう(JRも国鉄だったわけだし)。広島駅北側もかつての東練兵場であり,かなりの部分が国有地のままだろう。広島バスセンターのあたりもかつての西練兵場であり,広島市民球場やその北側の公園も,国有地を公園として安価に借地しているという。もし,広島市民球場の跡地に商業施設を設けるとすれば,それは「公園」という趣旨とは違ってくるため,借地代がかなり高くなるという話を聞いたことがある。

図1 工兵橋の場所
図2 宇賀大橋の場所

閑話休題。

工兵橋付近右岸の川土手には,サクラ並木ができている。このサクラを手前に配置し,その向こうに工兵橋が見えるような構図を探したが,そのような場所はかなり限定的なようだ。橋とサクラが,期待していたほど近くないのである。たとえばこのような位置から撮ることができるが,もっと橋のそばから見上げるような撮り方ができないものかと思っていた。まあ,そのような構図は,サクラと関係のない季節に撮ってみることにしよう。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 127mm F4.7, EPN

この位置からだと,望遠レンズを使って撮るのも構図がとりやすかったかもしれない。この近くに駐車できる場所がないこともあり,今日はアストラムラインを利用して訪れたので,できるだけ荷物を軽くコンパクトなものにしたかった。そのため,望遠レンズMamiya-sekor 250mm F5を用意しなかったのである。うむ,来年は,Mamiya-sekor 250mm F5も用意することにしよう。

橋の右岸東側から順光で撮るのはこれくらいにして,こんどは橋の西側から逆光で撮ることにする。広角レンズMamiya-sekor 75mm F5.6で塔のシルエットを写しこみながら,背景のサクラが透過光で浮かび上がるのを期待した。橋の表面の朝日が当たって明るくなっている個所も,浮かび上がってくるはずである。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 75mm F5.6, EPN

もう少し太陽の位置が低いときなら,期待通りにサクラが浮かび上がるように見えたかもしれない。また,塔の付近に通行人がいるのだが,スキャンしたこの画像では,識別が難しいようだ。

今度は,左岸東側に移動する。橋とサクラ並木をともに順光でとらえられる向きだ。ただ,こちら側は歩道があるとはいえ,自動車の通行も多くて,落ち着いて撮影のできる場所ではない。
 画面内のアクセントになるよう,本通方面行きアストラムラインの車両が通るときにシャッターを切った。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 75mm F5.6, E100VS

最後に,左岸西側からの撮影を試みるが,こちらはさらに歩道が狭く,また適当な撮影ポジションも見つからず,とりあえず1枚だけ撮るにとどまった。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 50mm F6.3, E100VS

サクラのある風景としては少々期待外れになったものの,工兵橋はその橋そのものの形がおもしろい。各季節ごとに,いろいろな角度から撮っておきたい場所である。いや,以前からそう思っていたのだが,徒歩や自転車ではやや遠く,自動車も利用しにくい場所である。どうしても足がここへ向くことが少なかったのであった。


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