撮影日記


2008年04月04日(金) 天気:はれ

楠木の大雁木にて
サクラを撮る(3)

今朝も,Mamiya Universal PressにMamiya-sekor 127mm F4.7とMamiya-sekor 75mm F5.6の2本を用意して,「楠木の大雁木」へ立ち寄った。今日は「工兵橋」へ行くことも検討したのだが,撮影後に横川まで戻るのに時間がかかりそうなので,そちらは明日にしようと思う。
 「楠木の大雁木」のサクラは,まだ高いところの枝先は開花していないが,ほぼ満開状態といってもよい状況。まさに,撮りごろである。空はすっきりと晴れており,日ざしも明瞭。石垣に,サクラの影もくっきりと映っている。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 127mm F4.7, E100VS

ともかく,今日も天気がよい。順光なので,青空を背景にサクラの花を対比させようと見上げてみたものの,市街地のサクラであるがゆえに,どうしても背景に一般の建物や電線などが見えてしまう。そこが市街地であることをあらわすために画面内にそれらをあえて取り入れることも考えられるので,電線であるというだけの理由でその存在を忌み嫌う必要はまったくない。だが,そうは言っても,それらが中途半端にただ漫然と画面内に存在するのも1つの絵として構成が難しいと感じるので,できることなら画面内に入ってきてほしくない。雁木を降りて,そういうポイントをさがしてみるのだが,ここからでは建物や電線を画面内から完全に排除することは,容易ではなさそうだ。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 75mm F5.6, E100VS

水面に反射する朝日の光が,逆光になる位置からながめてみる。水面の反射は白く見え,光が透けるサクラの花びらも白く見える。強烈な明暗差に,水面の反射のない部分や枝は,極度に暗く見えるはずだ。こういう場では彩度を求めず,むしろ透明感のようなものがほしい。フィルムはEPNを選びたい瞬間である。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 75mm F5.6, EPN

EPN,すなわち,コダック・エクタクローム・プロフェッショナルは,自然な発色を特徴とするフィルムである。彩度が高くなく,粒状性も決して芳しいものではない。そのため,決して人気のあるフィルムではないようだ。個人的には,その画像に「透明感」とでも言えばいいのかな,と感じる印象を強く受ける。E100VSと対極に位置するフィルムと言えるのではないだろうか。E100VSはたしかに印象的な発色をするフィルムであるが,その画像には,妙に重い雰囲気が伴っているように感じられるのだ。ま,あくまでも個人的な印象であるが,E100のシリーズは,いずれにもEPNのような「透明感」を感じることはない。
 ともあれ,EPNを使いたい気分になるときがあるのだ。ところがこのEPNも,いつまでも買えるというわけではなさそうだ。昨年11月に,EPNはすべてのサイズで製造販売が終了することがアナウンスされている(*1)。販売が実際に終了するのは,この3月ころになると見込まれているようだ。
 コダックは,2006年1月24日に声明を発表し(*2),「今後も引き続き、市場に需要がある限り、銀塩フィルム及び印画紙を製造・提供してまいります。」という態度を明確に示している(2006年1月25日の日記も参照)。しかしながら,ラインアップの整理は着実に進行しているようだ。一方,ポラロイド社は,2008年2月21日に,インスタントフィルムの製造・販売をすべて終了することを表明している(*3)。

さて,手元にあるEPNは,残りわずかである。近々に,EPNの画像を楽しむことができなくなるのは残念だが,しかたない。
 今日もそろそろ仕事開始の時刻が近づいてきた。今日の締めくくりには,楠木の大雁木のサクラを,少し高いところから撮ってみることにしよう。ビューファインダーを使って,手もちで手軽に撮ることができるのも,マミヤユニバーサルプレスの大いなる特徴なのである。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 75mm F5.6, E100VS

*1 http://www.nationalphoto.co.jp/1F/kodak_news_02.htm#discon_0711

*2 http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/corp/info_012406.shtml

*3 http://www.polaroid.co.jp/support/important.html


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