撮影日記


2008年02月16日(土) 天気:晴ときどき曇

上八木駅と七軒茶屋駅を見物する

以前,可部線を集中的に撮っていたことがあるので,私のことを「鉄」だと思っている人が少なくないらしい。しかし,私は「鉄」ではない。その証拠に,最近はあまり可部線というものを撮っていないのである。
 可部線は,横川で山陽本線から分岐し,北の方へ伸びる支線である。かつては三段峡駅までの路線があったが,現在は広島市内である可部駅までとなっている。可部駅までは,かつて軽便鉄道として開業した路線がもとになっており,それに由来するのであろうか駅間距離はJRの路線としては短い方である。また,幹線である山陽本線には,国鉄時代には12両くらいの長い編成の電車が運転されていたことがあるが,現在では最大で8両編成までである(寝台特急列車を除く)そのため,山陽本線の古くからの駅は,12両編成の電車でも止まれるだけの長いホームがあるが,比較的最近に開業した駅のホームは,8両分の長さしかなかったりする。可部線は,朝夕のラッシュ時などに4両編成の電車が運転されることもあるが,日中の比較的すいている時間帯に運転される電車は,2両編成のものが多い。そのため,可部線のホームは,4両分の長さしかない。
 しかし。
 上八木駅と七軒茶屋駅は,少し違う。これら2つの駅は,ホームの長さが3両分しかない。これらの駅がある,緑井駅と可部駅の間では,4両編成の電車では,横川側の1両のドアを閉め切って運転されている。ホームに,それだけの長さがないのだから,しかたない。これでは不便なので,この2つの駅は,ホームの長さを4両分にするための工事がはじまった。「ホームからはみ出す電車」を見ることができるのは,あとわずかである。私は「古いもの」が好きである。こういう「昔のままの状態」を見ることにも,大いなる興味があるのだ。

可部行きの2両編成の電車は,緑井駅を過ぎると乗っている人がかなり少なくなった。私は「鉄」ではないのでこういうのを何系というのかはよく知らないが,ドアが片側に4か所ある車両で,シートは窓を背にして座るものなので,着席定員は多くない。それでも1つのシートに座っている人は1〜2人というくらいにまで,がらあきになってきた。そのような状況であるにも関わらず,着席せずに立っている人がいた。運転室のすぐ後で前方を眺めているので,もしかすると「『鉄』な人」かもしれない。
 この電車は上八木駅を発車すると,終点の可部駅で折り返しておよそ20分後に戻ってくる。その間に工事のようすがわかりやすそうな場所を探すために,電車を急いで降りて駅周囲のようすをうかがっていると,電車のなかで見かけたさっきの人が,電車の正面にコンパクトディジタルカメラを向けていた。やはり「『鉄』な人」だったようだ。
 上八木駅付近では,可部線は県道に沿っている。線路をはさんで県道の反対側に,短いホームと簡素な駅舎が存在する。そのホームの前後には,それぞれ踏切がある。可部側の踏切は自動車も渡ることができるものだが,横川側の踏切は。歩行者専用の小さなものだ。上八木駅の延伸工事は,この横川側の踏切を移設することでおこなわれているようである。
 ここで,4両編成の電車が停車するところを撮りたいのだが,お昼前には4両編成の電車がこないのはわかっている。今日のところは構図等を考えることを主とし,2〜3本くらい電車が来るのを待つことにした。例の「『鉄』な人」は上八木駅でホームから出ることもなく,そのまま可部から折り返してきた電車で,さっさと横川方面へ戻っていったようである。その後,その人を見かけることはなかった。

さて,国道54号線を可部の方へ走っていくと,太田川橋の手前で展望が開ける場所がある。そこの歩道からだと,太田川橋の隣を渡る可部線を見下ろせそうに思われる。その場所を確認しておくことにしよう。
 上八木駅から少し可部の方に県道を歩き,国道54号線の方へ上がっていく道を進むと,国道の下をくぐるトンネルが見えてくる。その手前にある,狭い階段の通路をあがれば,国道沿いの歩道に出ることができる。フェンスや樹木の途切れたところが何か所かあり,そこからちょうど,太田川の隣を渡る可部線を見下ろすことができる。200mmくらいのレンズで,ちょうど可部線が太田川を渡るところ全体がカバーできそうであるが,その場合,手前にある工場の屋根が(その工場の関係者には申し訳ないが)少々目ざわりになりそうだ。200mmくらいから300mmくらいまでの範囲で焦点距離を調整できる,AF Zoom-NIKKOR ED70-300mm F4-5.6Dを用意してきたのは正解だったようだ。
 となると,次回,ここにあらためて訪れる際には,Zoom-NIKKOR AUTO 50-300mm F4.5 (Ai改)を用意してくるのもおもしろそうだ。300mm時にF4.5で,気持ちほど明るい点が有利にはたらくかもしれない。300mmで撮った直後に,一気に50mmにまでズーミングして全景を撮ってみるのも,効率的かもしれない。まあ,ズームレンズに関しては,古いものよりも新しいものの方が,描写については間違いなく安心できるものとは思うのだが(笑)。

その後,七軒茶屋駅までの移動は,徒歩でおこなう。可部線の駅間距離は「その程度」ということだ。
 七軒茶屋駅は,県道から少し離れたところにある。そこに入る道は狭く,自動車で移動していると,入口に気がつかないことだろう。七軒茶屋駅のホームの前後は,上八木駅と同様にそれぞれ踏切がある。上八木駅の延伸工事は,片側の踏切を移設しておこなわれるようだが,七軒茶屋駅の場合は,現在の駅を延伸するのではなく,横川側に駅全体を移設して,4両分のホームを設けるようだ。小ぢんまりしてかわいらしい雰囲気の,現在の七軒茶屋駅舎は,やはり建て替えられてしまうのだろうか。なんとなく惜しい。
 ともあれ,今日のところは2両編成の列車ばかりで,上八木駅や七軒茶屋駅のホームの短さを再確認することができなかったので,また出直すことにしよう。平日の早朝ならば,撮影しやすい光線で4両編成の列車を見ることが期待できる。月曜日から金曜日のうちにそんなことをしている時間の余裕はないので,次の土曜日あたりに早起きしてみようかな・・・などと考えながら,帰路についたのであった。


← 前のページ もくじ 次のページ →