撮影日記


2008年01月28日(月) 天気:雪

元箱は必要なのか?

2008年1月26日の日記のつづき。
 アカデミイ書店を出た後,横川での約束の時刻まで,まだ余裕があった。そのまま本通りを歩き,袋町電停近くの「BOOK OFF 広島大手町店」に立ち寄った。地下の売り場で,なにかジャンクカメラでもみつけられたらいいな,という発想である。
 はっきり言って,このお店には,あまり期待できるものはない。これまでに見てきたものは,ジャンク品と言っても不当に高価に感じられる場合が多かったのだ。ジャンク扱いではない中古カメラも,高価に感じられる。そもそも,カメラのマニアは,不要になったカメラを処分するときに,一般的なリサイクルショップに行くだろうか? 目的が「新機種への買い替え」であれば,新機種を売っており,下取りもしてくれるようなカメラ専門店へ行くだろう。買い替えではない場合でも,いきつけのカメラ店へ持っていくのが自然ではないだろうか。広島市中心部付近というのは,中古カメラ専門店が近くに集中しているような場所でもある。広島市の郊外には「カメラのキタムラ」等の専門店があちこちにある。だから,「BOOK OFF 広島大手町店」に高級機が出てくる必然性がみあたらないのだ。そのかわり。カメラのマニアではない人が使うようなカメラと出会える可能性は,カメラ専門店よりも高いのではないだろうかと期待できる。実際,カメラ専門店で見かけなくなったようなコンパクトカメラが,ジャンク扱いでころがっているのを見かけることがよくある。ただ,カメラ専門店での「ジャンクカメラ」よりも高い場合が多いのだ。
 そんな「BOOK OFF 広島大手町店」の地下売り場で,はじめて1台のジャンクカメラを買うことになった。これが,今年最初のカメラになるわけだ。

キヤノン「オートボーイ プリズマ」という,1988年10月に発売されたカメラだ。レンズにカビが見られるが,動作は問題なく思われる。
 さてこのカメラの特徴だが,通常のアイレベルのファインダーだけでなく,カメラの上面に「ウエストレベルファインダー」が設けられていることを第一に指摘したい。

また,カメラ底部には,カメラを斜めに立たせるための「爪」がしこんである。これらを利用して,ローアングル撮影をおこなったり,テーブルやちょっとした台にカメラをおいて,記念撮影などができるというしくみだ。

さらにこのカメラの特徴として,ワイヤレスリモコンが使えることがあげられる。そのリモコンは,本体内に組みこまれており,取り外して使うようになっている。旅行先などでの記念写真を撮るのに適するように考えられたカメラである。

そのかわり,それ以外の要素については,かなり割り切ったところが感じられる。キヤノンのウェブサイト(*1)によれば,撮影レンズは35mm F3.5の3枚玉である。フラッシュの強制ON/OFFもない。シャッター速度は,1/40〜1/125秒の範囲にすぎない。
 そんなカメラなのに,ウエストレベルファインダー部には,高級な光学部品と言えるダハプリズムが使われているという。ちょっとした「贅沢仕様」だろうか。ちなみに,「オートボーイ プリズマ」の価格は¥38,500だったが,同時に発売された下位機種に相当する「オートボーイ ライト2」は,35mm F4.5レンズ,ワイヤレスリモコンなし,ウエストレベルファインダーなしという仕様で¥31,800だった。

売り場には,もう1つ気になるカメラがあった。それは,よくわからないブランドの,よくわからないカメラである(笑)。「フィルムカメラ」であることが箱に目立つように記載されていたので,ディジタルカメラが一般化してきた,わりと最近のものであろう。箱のなかを見ると,けっこう大きなカメラである。また,下側だけだが,不相応に思えるくらいの発泡スチロールの保護材が使われている。カメラ自体を見てみると,よくある一眼レフ風の姿をした,おもちゃカメラである。巻き上げが電動式でホットシューもあるので,たとえば,「カメラミュージアム」で紹介している「MF-7000DV」(*2)と基本的には同じようなものであろう。
 この種のカメラは,シャッター速度が固定である。しかし,露光調節のための絞りは,いちおうついている。今日,ここで見かけたよくわからないカメラの場合,その絞りリングを回すと,レンズ鏡胴にあたる部分が伸縮するのだ!被写界深度に応じて,中心となるピント位置をずらしているのであろうか?いえいえ,そうではありません♪鏡胴にあたる部分が伸縮するだけなのだ。それはズームレンズのズーミングをおこなっているかのように「見える」のである。
 これは,「話のネタ」として,とてもおもしろいアイテムである。価格は1000円。おもちゃカメラに1000円というのはもったいない気もするが,話のネタとしては1000円の価値はあるのではないだろうか。
 しかし。それを購入するのは,見送ることにした。価格の問題もさることながら,その箱があまりにも立派なのである。とにかく箱が大きいのだ。しかも,その箱はぼろぼろになっている。とっておくほどの価値がある箱でもないが,自分の手で捨てることには抵抗がある。カメラを買うとき,とくにクラシックカメラと呼ばれるものを買うときには,箱のあるなしを意識する人は少なくないだろう。それは,中のカメラを保護するという目的だけではなく,箱そのものに資料的価値があったり,箱そのものもそのブランドに対する立派なコレクションアイテムだったりするからだ。おもちゃカメラの箱の場合も,資料的価値くらいはある。たいして欲しくもない箱だが,やはり捨てるには抵抗があるのだ。

*1 http://web.canon.jp/Camera-muse/camera/film/1987-1991/data/1988_ab-pri_s.html

*2 http://camera.awane-photo.com/6/4/7000/index.htm


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