撮影日記


2008年01月26日(土) 天気:晴ときどき曇

カメラブームは遠い昔

夕方近くなって,久しぶりに的場町界隈を訪れてみた。いまさら言うまでもないが,中古カメラ店が集中していることで知られたエリアである。なお,的場町という町は決して広くないが,「名物」とされるものが多数ある。1つは「センイシティ」という繊維関係の問屋さんが集まったエリアだ。むしろこれが,的場町本来の名物なのかもしれない。ほかにはJRAや,大衆演劇場,薔薇族映画館も,的場町の名物の1つに数える人があるようだ。残念ながら上記のうちでは,中古カメラ店以外の施設を利用したことはない。
 今回,いくつかの中古カメラ店を覗いて気がついたこととして,初期のAF一眼レフカメラが相当に安くなっていることがある。たとえば日進堂カメラでは,ニコンF-601にわずか¥3,500という価格がつけられていた。その隣に並べられていたF-501は,標準ズームレンズAF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.3-4.5(旧型)付きで¥5,500である。すでにF-301,F-401,F-601,F-801を入手しているので,あとはF-501があれば,「3ケタシリーズ」が揃うことになる。そのほか「3ケタシリーズ」にはF-801SやF-401S,F-401Xといった「S」や「X」のつくモデルもあるのだが,とりあえずそういう細かいことは考えないことにしよう。ともあれ,「3ケタシリーズ」が一通り揃うことになるから,少し「ほしい」と思った。
 また,F-501はニコンのAF一眼レフカメラシステムの最初のモデルである。いや,実際にはその前に,F3AFというAF一眼レフカメラが発売されていた。しかし,F3AF用AFレンズは80mm F2.8と200mm F3.5の2本だけであり(他にAFテレコンバータが発売されていた),F-501以後に発売されたAFニッコールレンズを使用することができない特殊なモデルである。AF一眼レフカメラではあるが,AF一眼レフカメラのシステムを構成するには至らなかったモデルであると言いたい。それだけに,実用性はともかくも,歴史的な存在意義の高いカメラだと思うのであるが,通常のF3よりも高値で売られていることが多いこともあり,そう簡単に購入に踏み切るわけにはいかない。
 日進堂カメラは,どちらかというと「高級舶来カメラ」を中心に扱っているお店であると思われる。そのせいか,中級以下の国産カメラが比較的安価に売られている傾向があるようにも見える。それを割り引いても,¥3,500のF-601は安いように感じたものだ。それに対して,FEやEMといった,F-601よりも古いマニュアルフォーカスの一眼レフカメラには,2万円前後の価格がつけられている。その価格は,ここ何年もずっと変わりないように思われる。初期のAF一眼レフカメラがとくに安くなっているように感じられたのは,そういう点である。
 大洲カメラにも立ち寄ってみると,そのショーウインドウ内にゲルツの「アンゴー」(2007年9月17日の日記を参照)がまだ飾られていた。もしかして,私を待ってくれているのだろうか(笑)? 店内でジャンクコーナーをあさってみるものの,めぼしいものはない。「最近,カメラよりも古物が増えましたよ」と店主。やはり「資源」は枯渇傾向にあるのだろうか(2005年7月26日の日記を参照)。そう言いながらも,きれいに見えるイコンタがちゃっかりと店内のウインドウに飾られていたりするところが,このお店の魅力かもしれない。
 結局,的場町界隈でのカメラの収穫は「なし」であった。

画像は携帯電話機のディジタルカメラ機能によるもの

このあと横川で約束があるのだが,まだ少し時間があるので,京橋川沿いのオープンカフェを軽く撮ってみたりしながら,アカデミイ書店を目指して歩いた。アカデミイ書店で入手した本の中に「ブームはどう始まり どう終わるのか」(中川 右介・著,岩波アクティブ新書 2004年)というものがあった。なかをよく見ずにタイトルと価格(笑)だけ見て買ったものだが,読んでみると「中古カメラブーム」を事例に,ブームというものの盛衰を考察したものである。「ブームには教祖が必要」「マスコミに取り上げられたときは末期」「新参者が市場を荒らす」のようなことが書かれており,なるほど,そういう見方があるのかとうなずかされる。
 この本の著者は,中古カメラ関係の雑誌や書籍の発行にかかわってきたことから,ブームをずっと観察できる立場にあったと言っている。そして,書籍が売れなくなったことや,読者の反応が鈍くなったことなどから,その終焉を実感したということも述べている。私も,中古カメラに興味をもちはじめたころには,情報を得るために書籍や雑誌等に目を通すことが少なくなかった。しかし,少なくとも雑誌に関してはわりと早期に,いつもと変わらぬ執筆陣が,同じようなことをあっちにもこっちにも書いているだけじゃないか?という印象を受けるようになった。もちろん,商品としての差別化をはかるために,あらたな内容を組みこんだりするなどの工夫もあったのだろうが。雑誌等においては,内容がかわりばえしなくなると同時に,誤った内容(たとえば,あるカメラを紹介している文章に添えられた写真に写っているものが,まったく別の機種であったりする・・・・見る人が見なければわからないようなものではなく,カメラの正面に機種名がはっきりと書いてあるにもかかわらず・・・)や,「日本語になっていない」文章などが目につくものも出てきたように感じている。そうだ,実に「つまらない」ものが,ブームだけに乗った状態で堂々と流通しはじめたというべきだろうか。
 いや,このサイトにある文章は,それら以上につまらないものかもしれない。
 でも,そんなの関係ねぇ!(笑)
 と,無理やり使ってみた流行語?だが,このような流行語も,いずれ忘れられる運命にあるだろう。ブームには,必ず終わりがあるのだという。


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