撮影日記


2007年11月09日(金) 天気:くもり一時あめ

失われた黄色いゴム
マミヤUの秘密?

最近,テレビ報道等では,日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた月周回衛星「かぐや」が送ってくるハイビジョンカメラによる映像が取り上げられることが多い。月の地平線からのぼる地球,あるいは,月の地平線にしずむ地球の像によって,地球の美しさを強く印象づけられた人も多いことだろう。
 今後,アメリカ合衆国は,月面基地の建設を進める計画があるという。にわかに月が注目されているが,そこにまた,新たな利権等の争いが生じるのであろうか。いまはそういうことを気にせずに,その美しい映像のみを楽しむことにしておこうか・・・・。

さて先日,「新・広島お気軽写真クラブ」写真展にご来場くださった友人からいただいたカメラ(2007年11月1日の日記も参照)のうち,今日は,マミヤUを紹介しようと思う。

見てのとおり,曲面を意識した独特のデザインは,一目で見る者を魅了するだろう。とくにレンズ部分は曲面というよりも球面の一部であり,この雰囲気をあえて文字で表現すれば「一昔(ひとむかし)前の近未来感覚」となるのではないだろうか。この球面部分は,たとえば一昔前に描かれた「未来の宇宙船」や「未来の月面基地」を思い出させてくれるのではないだろうか。そう,ここで,冒頭に脈絡もなくふれた月の話題につながるのである(笑)。
 少しまじめに,このカメラを観察してみよう。レンズ部分にバリアをもっていることから,いわゆるケースレスカメラであることがわかる。このレンズバリアを開くと,それはどことなく天文台の観測ドームを想像させてくれる。いや,やはりこれは,月面基地を連想させるものに相違ない・・・・というのは,考えすぎか。さて,マミヤUの発売は1981年7月,ケースレスカメラの先駆といえるオリンパスXA(1979年)やその廉価版的なモデルとして大ヒットしたオリンパスXA2(1980年)の影響を受けているように思われる。そうだ,XAシリーズも,レンズを覆う部分は曲面で構成されていたんだ。
 マミヤUは,オリンパスXA2と同様に,ピント調整は目測式のEEカメラである。オリンパスXA2は専用フラッシュを取り外しできる構造だったが,マミヤUはフラッシュを内蔵している。そのため,オリンパスXA2よりは大きなボディになったが,それでも当時のカメラとしてはコンパクトな部類に含まれていた。また,オリンパスXA2のピント調整はカメラ前面のレバーを操作しておこなうようになっていたが,マミヤUはレンズ回りのリングを回しておこなうようになっている。シャッターレリーズボタンの位置も含めて,より,「普通の」カメラとしてまとまっている。ただ,当時のフラッシュ内蔵カメラは単3乾電池2本を電源とすることが多かったが,マミヤUはそのコンパクトさゆえに単4乾電池2本を電源として使用するようになっていた。

さて,このマミヤUは,私にとっては2台目のマミヤUである。以前から所有していたマミヤUのシリアルナンバーは1078412であり,今回いただいたマミヤUのシリアルナンバーは3023889である。その差は約200万。このカメラが200万台以上も製造されていた,なんてことは聞いたこともないので,最上位の数字は製造年をあらわしているのかもしれない。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」にマミヤUが掲載されていたのは,1982年から1984年までの3年間なので,たとえば1年目に製造されたのものと3年目に製造されたものをあらわしているのかな?と推測することもできるだろう。ともあれ,この2台の製造時期は,それなりに離れていたはずだ。
 製造時期が離れていれば,そこになんらかの違いがあるかもしれない。よく見てみると,次のような違いがあることに気がついた。
 1点は,レンズバリアを開閉するレバーの部分の色である。3023889の方は,バリアを開くと黄色く表示されるようになっている。

もう1点は,ピントリングの表記である。マミヤUのピントリングには,距離目盛とともに,ゾーンフォーカスのマークが記載されている。距離目盛は全体が見えているのに対し,ゾーンフォーカスのマークは,現在値のみが見えるように「使いやすさ」の工夫がなされている。そして,3023889のほうは,距離3mに対応するマークだけ黄色く塗られている。日中にこの位置にあわせておけば,近距離から遠景まで,ほぼ被写界深度内にはいることから,ピント調整を不要にする工夫である。

1078412の方には,黄色く表示することで注意をうながすような工夫は,まだ,取り入れられていなかったようだ。ところで,同様の工夫は,オリンパスXA2にも見られる。オリンパスXA2では,レンズバリアを閉じると,ピント位置が約3mになり,次に使うときにピント調整を忘れても,ほぼ被写界深度内におさまるようになっているわけだ。また,そのピント位置は,ゾーンフォーカスマークの色を変えてあり,気がつきやすいように工夫がなされている。これは,オリンパスXA2の完成度の高さを示すポイントといえるだろう。

さて,この2台のマミヤUは,どちらもシャッターレリーズボタンが失われている。ここには本来,黄色いゴムのボタンが取りつけられていた。これはデザイン上のきわめて重要なアクセントになっているはずなのだが,残念なことに今は,その痕跡をわずかにとどめているのみとなっている…。

2007年12月14日(金) 天気:くもり

シリアルナンバー2102902は,レンズバリア開閉レバーも,3mの指標も,いずれも黄色になっているという情報がありました。ありがとうございました。

2007年12月27日(木) 天気:はれ

シリアルナンバー1093490,1105565(いずれもブラックボディ)は,レンズバリア開閉レバーも,3mの指標も,いずれも黒,シリアルナンバー2030601,2102881,3010755(いずれもシルバーボディ)は,レンズバリア開閉レバーも,3mの指標も,いずれも黄色になっているという情報がありました。ありがとうございました。


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