撮影日記


2007年10月03日(水) 天気:晴

連写カルディア,びゅーんと復活

先日,「カメラのキタムラあけぼの」店で救出したカメラの1つに,広島東洋カープのロゴが入ったフジ「連写カルディア Byu〜n」があった。外見に傷みは目だたないが,電池ボックスをあけると接点が腐食しており,電源が入らなくなっている。とりあえず接点をやすりで磨いて単3乾電池2本をセットしてみるが,カメラは動作しない。内部の回路が腐食の影響を受けているようだ。
 さて,このカメラはどこから分解すればよいのであろうか?カメラの表面に,ネジが見当たらない。表面に革が貼られているわけでもなく,ネジが隠されているようすもない。電池ボックスを開けてみると,そのふたに1本のネジが隠されていたのを見つけたが,それ1本で止められているわけではないようで,それをはずしてもびくともしない。裏ふたを開けてみると,フィルムを装填するところに6本ネジがあった。これで,ボディの前部が止められているのであろう。それを全部はずし,さらに巻き戻しクランクもはずすことで,ようやくすべてのネジをはずしたことになる。
 これでボディが簡単にはずれる・・・と思ったのだが,どこかがうまくひっかかっているのか,はずれない。全体に「おもちゃ」のようなカメラだから,分解することを考慮されていないのだろうか?とも思ったのだが,電池ボックスのふたを先にはずしておこうとボディをこねると,かぱっと素直にはずれたのであった。力をかける,適切な向きというものがあるようだ。

なかを見てみると,予想通り基盤に腐食が広がっている。おそらく,乾電池の液漏れがあったのだろう。電池ボックスに近い基盤のダメージが大きい。よく見ると,電池ボックスから回路へのコードが切れていたり,シャッターレリーズボタンの接点に相当する部分に腐食が厚く堆積していたりする。これじゃあ,電気がまったく流れないはずだ。
 これらはつまり,単なる断線および接触不良であるから,ハンダづけをやり直すことで回路が復活するはずだ。さっそくやってみるが,思ったよりもハンダののりが悪い。やすりで磨いても,やはりハンダののりが悪い。電池ボックスからのコードをつなぎなおすことができるまでには,それなりの時間を必要としたのであった。

これで電気は流れているはずだ。しかし,シャッターレリーズボタンの接点を短絡させたにもかかわらず,シャッターは動作しない。接点につながるコードを短絡させればシャッターは動作する。つまり,接点の部分も腐食に侵されてしまっている,ということのようだ。そこで,導線を2本並べて接点をつくることにした。あまりカッコのよいものではないが,元通りに組み立ててしまえばここは見えない場所である。そして,ちゃんと動作さえしてくれれば,それで問題はないのだから。

「連写カルディア Byu〜n」の正面には8個のレンズ(20mm F9.5)が並んでおり,8個のレンズに対応したシャッターが順次露光をおこなうことで,連続写真を撮るようになっている。このシャッターは,円盤に穴が開けられたものになっており,その円盤の回転によって,順次露光されるようになっている。その円盤が回転する速度は3段階に切りかえられるが,どの速度で回転させても,露光時間は1/250秒で一定であるという。
 実際に動作させてみると,「超高速(0.3秒)」では,円盤はすーっと回転するだけであるが,「高速(1.2秒)」や「中速(2秒)」では,カチッ,カッ,カッ,カッ,カッ,カッ,カッ,カチッと,一定の時間を刻みながら動作していることがわかる。ただの「おもちゃ」ではない,まじめにつくられたカメラであることが納得できるのであった。
 このカメラが発売されたのは,1992年ころである。それはちょうど「パノラマ」という画面サイズが発売されるようになったころに相当する。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」での「連写カルディア Byu〜n」の紹介文では「連続写真は迫力あるパノラマサイズ2枚に仕上がります」とある。「連写カルディア Byu〜n」は,単価の高い「パノラマサイズ」のプリントをたくさん売るために考えられた商品だったようだ・・・・。しまった,孔明の罠か?(笑)


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