撮影日記


2007年09月20日(木) 天気:晴

京セラ「210AF」のシステム

京セラのシステムAF一眼レフカメラ「210AF」を含んだシリーズは,「Let'sシリーズ」というらしい。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」の1988年版から1991年版あたりには,そのような意味のことが書いてある。しかし,最初のモデル「230AF」がはじめて掲載された1987年版には,そのような名称は用意していなかったのだろうか,「Let'sシリーズ」や「Let's」を含んだ愛称名のような記載は見られない。あとからとってつけたような名称であることに,妙な違和感をもったものだ。ちなみに,1992年版以降,「Let'sシリーズ」という名称は,見られなくなっている。

昨日の日記(2007年9月19日)で,京セラ「210AF」について,「ファインダー内には,プログラムAEモードを示す表示,合焦表示,手ブレ警告表示しかない。」と書いた。しかし,もしかすると,「フラッシュのチャージ完了」のインジケータもあるかもしれない。残念ながら今回入手した「210AF」には「ペンタフラッシュ」が付属していなかったため,それはたしかめることができていない。
 すでに製造・販売が終了したシリーズ,それもどちらかというとマイナーなシリーズのオプション品は,一般的に入手が容易ではないといえる。したがって,京セラ「210AF」用ペンタフラッシュを安価に入手することは,容易ではないように思われる。しかし,「ペンタフラッシュ」は別売のオプション品ではなく,標準的に付属していたものである。したがって,流通していた数は少なくないはずだ。また,人気のないシリーズであれば,少しでもなんらかの支障があるものは,「ジャンク品」として扱われている可能性が高い。「ペンタフラッシュ」の付属した「ジャンク」な「210AF」あるいは「230AF」(「230AF」用のペンタフラッシュは,「210AF」でも使えるらしい・・・・未確認ではあるが)と,そのうち「いい出会い」があるような気がする。そのときを,のんびりと待っていることにしよう。

さて,システム一眼レフカメラの魅力は,「交換レンズ」にあるといえる。京セラのLet'sシリーズにも,一通りの交換レンズが用意されていた。「210AF」が発売された当時の交換レンズのラインアップは,次のようになっている(日本カメラショー「カメラ総合カタログ」vol.91,1988年版による)。

京セラ「Let's」シリーズ交換レンズ
レンズ構成最短撮影距離フィルタ径
24mm F2.8 8群 9枚0.25m58mm
28mm F2.8 6群 6枚0.30m49mm
50mm F1.8 4群 6枚0.45m49mm
28-85mm F3.5-4.5 9群13枚0.90m62mm
35-70mm F3.3-4.5 7群 8枚0.33m52mm
35-105mm F3.5-4.513群15枚1.20m58mm
70-210mm F4.5 9群12枚1.50m58mm
75-300mm F4.5-5.610群14枚1.70m62mm
80-200mm F4-4.8 8群11枚1.80m52mm
Tele-converter 1.6x 5群 6枚--

この当時は,他社のAFシステム用交換レンズも,それほど充実していたわけではない。たとえば,同じ「カメラ総合カタログ」のAFニッコールのラインアップを見てみよう。

ニコン 「AFニッコール」レンズ
レンズ構成最短撮影距離フィルタ径
24mm F2.8 9群 9枚0.30m52mm
28mm F2.8 5群 5枚0.30m52mm
50mm F1.4 6群 7枚0.45m52mm
50mm F1.8 5群 6枚0.45m52mm
Micro55mm F2.8 5群 6枚0.229m62mm
85mm F1.8 6群 6枚0.85m62mm
ED180mm F2.8 6群 8枚1.50m72mm
ED300mm F2.8 6群 8枚3.00m-
ED300mm F4 6群 8枚2.50m82mm
24-50mm F3.3-4.5 9群 9枚0.60m62mm
28-85mm F3.5-4.511群15枚0.80m62mm
35-70mm F3.3-4.5 7群 8枚0.35m52mm
35-105mm F3.5-4.512群16枚1.40m52mm
70-210mm F4-5.6 9群12枚1.50m62mm
70-210mm F4 9群13枚1.50m62mm
80-200mm F2.811群16枚1.80m77mm
Tele-converter 1.6x 5群 5枚--

両者のラインアップは,なんとなく,似ている。しかし,一般的によく使われるだろうスペックのレンズを優先的に発売するだろうから,それは当然のことかもしれない。ラインアップは似ていても,それぞれのレンズは構成枚数が微妙に違っていたり,フィルタ径が大幅に違っていたりして,まったく異なるレンズであることがうかがえる。しかし,35-70mm F3.3-4.5は,どこか似ている。このクラスのレンズは,だれがどう開発しても,同じようなものになるのだろうか?それとも,もともとの設計等に共通のものがあるのだろうか。

京セラからは「Let's」シリーズだけでなく,「ヤシカ」「コンタックス」という一眼レフカメラが発売されている。「ヤシカ」「コンタックス」は,「カール・ツァイス」名の交換レンズを利用することができ,そのレンズの性能が大きな魅力となって,一定の人気をもつようになっていた。だから,京セラ「Let's」シリーズに対して,同じ工場の同じラインで製造されていたならば,「中身はツァイスと同じ」で「価格は安い」レンズが供給されているもの,と期待をもちたいものである。
 ところで,「ヤシカ」と「コンタックス」は,どちらも「ヤシカMLマウント」とよばれる,同じレンズマウント(レンズとボディの結合部)を採用しており,交換レンズに互換性がある。しかし,「Let's」シリーズは,同じメーカーでありながら,異なるマウントを採用している。また,「ヤシカ」「コンタックス」用のレンズと見くらべたとき,24mm F2.8レンズがヤシカ銘のものと似ているように思われる以外に,似ているレンズが見あたらない。

京セラ「Let's」シリーズの交換レンズは,ほとんどすべてを新たに開発したものであろうか?それとも「ヤシカ」レンズを改良したものであろうか?
 ともあれ,「KYOCERA 35-70mm F3.3-4.5」と「AF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.3-4.5」はどことなく似ているレンズである。じっくりと撮りくらべてみるとおもしろいかもしれない。


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