撮影日記


2007年08月21日(火) 天気:はれ一時あめ

ニコイチ

「ニコイチ」ということばを聞いたことが,あるだろうか。

・・・「それ,なんですか?蒸気機関車の一種ですか?」

それは「デゴイチ」だろ!私は「鉄」ではない。だから,ここでそういうネタを出すはずがない。

・・・「ああ,タバコに含まれている毒物ですね?」

それは「ニコチン」!

・・・「そうだ,ニコンのカメラがこの世で一番!という意味でしょ!」

うむ。それは正しい。不変の真実である。しかし,「ニコイチ」ということばの説明としては,残念ながら正しくない。

「ニコイチ」とは,機械類のレストアを趣味としている人たちがよく使うようだが,「故障している2つの製品から使える部品を取り出して,1つの動作する製品を組み立てる」ことをさすことばである。「2個」のものから「1」つのものをつくりだす,それが「ニコイチ」である。
 「ニコイチ」のよくある例としては,たとえば,ほとんど完全な状態なのに部品が1つ欠けているというものに,完全に故障して修理が不能であるがその部品がちゃんとついているものから,その部品を移植する,というものがある。それは,巻き戻しクランクや電池ボックスのふたなど,失われやすい部品であることが多いだろう。
 ほかには,外装は傷だらけだがきちんと動作するものと,外見はきれいだがまったく動作しなくなっているものを組み合わせて,外見がきれいな完動品をつくりあげるような場合もある。これなどは,まさに感動である。こういうことはたとえば,コンパクトカメラでよくおこなわれているのではないだろうか。

2007年8月9日の日記にも書いたように,先日,日本カメラショー「カメラ総合カタログ」を5冊入手した。そのうち1冊は1960年版であるが,そのほかに1967年,1971年,1979年,1980年版が含まれていた。いや,正確にいえば,それらが含まれていたように見えた。
 これまで,私が入手していなかった日本カメラショー「カメラ総合カタログ」は,1960年〜1966年,1971年,1996年〜1997年,2007年版であった。未入手だったもののうち,1960年版と1971年版が入手できたので,それはもう大満足である。また,入手していた1967年版については表紙がなかった(2007年5月26日の日記を参照)ので,表紙のある1967年版が入手できたことも,満足度を高めてくれたのである。

しかし,この1967年版には,妙な違和感があった。
 表紙はあったものの,裏表紙は失われていた。また,本トビラのある1ページ目と,それにつながっている最終ページ(1980年版までの「カメラ総合カタログ」は,週刊誌のような中綴じである)も失われていた。さらに,すでに入手していた1967年版とくらべて,妙に厚いのである。
 なかを見ると,ニコンF2が掲載されていたりする。だ・ま・さ・れ・た!表紙と本文の中身が異なっているのだ!1ページ目と最終ページがないので,それが何年版なのかすぐには判別できなかったが,ほかの「カメラ総合カタログ」と照合した結果,それは1972年版であることがわかった。すでに入手していたものとは版が異なるのが,せめてもの救いである。

さて。1967年版の表紙だけが,ぽつんとそこに残ったことになる。そして,手元には表紙だけがない1967年版がある。幸いなことに,どちらもVol.28で,同じ版である。

これは,「ニコイチ」するしかない!

1967年版から裏表紙をはずし,表紙と並べる。そしてその内側で,文字を隠さないよう,破れているところを完全にカバーするよう,最小限の幅の紙をおき,そこに糊づけをおこなう。完全に接着したと思われるところで,1967年版を綴じている針金をはずし,表紙を巻いた状態で,針金を止めなおす。
 そうして,無事に表紙もそろった1967年版「カメラ総合カタログ」が完成したのであった。


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