撮影日記


2007年08月06日(月) 天気:雨のち晴

ROLLEIFLEXで
「とうろう流し」を撮る

朝,雷の音で目が覚めた。
 空は,妙な黄色に染まっていた。

今日の平和式典は,雨のなかでおこなわれるのだろうか。この日が雨だった前例がどれくらいあったのか,少し気になる。もし62年前の今日も,このような不安定な天気だったら,あのような大虐殺はおこなわれなかったかもしれない。いや,時と場所が少しずれただけで,やはり虐殺はおこなわれただろう。虐殺をおこなった側が,「必要だった」とうそぶいているかぎりは。

夕方から,職場での飲み会があった。20:30ころに解散となり,私はそのまま平和公園へ行って「とうろう流し」を見物することにした。以前は,あの場に「物見遊山」的に訪れてはいけないような気がしていたのだが,最近は少し割り切れた自分がそこにいた。
 川沿いでは,多くの人が思い思いの時間をすごしているようだ。彼らのなかには,ディジタル一眼レフカメラか,コンパクトディジタルカメラか,あるいは,携帯電話を川面に向けて,びしばしフラッシュを光らせている者も少なくない。もしかすると,「きれいなイルミネーション」くらいに考えて,気軽に撮っている人もあるかもしれない。そういうことができる今こそ,たしかに平和なのかもしれない。
 ときどき,「とうろう流しを撮って,平和を考えるんです」みたいなことを自分の口から言う人を見かける。しかし,その写真を見たからといって,それがどう,平和を訴えているのかわからないことも多い。その光景の意味を知っていなければ,ただの「きれいなイルミネーション」に過ぎないのである。まあ,こういうことは,ひとりひとりが現在の平和について考えることが大切なのであって,写真という画像の情報だけでそれを訴えることができるだけの力のある人は,ごく少ないのが現実だろう。
 だから,そこは割り切って,私も「とうろう流し」を単に撮ってみることにしたのである(笑)。

仕事の帰り道,しかも,飲み会のあったあとであるから,機材は徹底的にシンプルにコンパクトにまとめたい。そうなると,昨年末の原爆ドームのライトアップを撮ったときと同様に,ローライフレックスとスリック・プロミニの組み合わせの出番となる。(2006年12月19日の日記を参照。)

ROLLEIFLEX Automat, Tessar 7.5cm F3.5 (F4, 1/2sec), E100GP
ROLLEIFLEX Automat, Tessar 7.5cm F3.5 (F5.6, 1sec), E100GP

流れている「とうろう」をスポットメーターで測光すると,F4とF5.6の間で1/2秒くらいが適正露光であることが示された。さらに,対岸のライトアップされている原爆ドームを測光すると,やはりF5.6で1/2秒くらいで適正露光になるようである。そこで,若干多めに露光を与えるように,F3.5〜F5.6,1/2秒〜1秒の範囲でフィルム1本,計12コマを撮ってみた。
 川には流れがあるので,あまり長時間露光をおこなうと,「とうろう」が流れてしまうのであった。


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