撮影日記


2007年07月28日(土) 天気:くもり

最初に習う文字

古書店に立ち寄るとき,いつもいつも,店頭の300円均一コーナーとか105円均一コーナーばかりをチェックしているわけではない(笑)。以前から何度も書いているが,私は古いものに興味がある。だからたとえば,なんでもいいから19世紀のカメラがほしい。ニエプスとか,ダゲールとか,タルボットとかによって,写真が発明されたのが19世紀前半。コダックから,「あなたはボタンを押すだけ。あとは私たちにおまかせください。」というロールフィルムカメラが発売されたのが1888年。ダゲールの発明は1838年とされているので,それより古いカメラはこの世に存在しない。ともあれ,19世紀は,カメラの存在そのものが,まだ貴重だったといえる時代なわけで,そういう時代のものを1つ,手元においておきたい気分なのである。ただし,お金はかけたくない(笑)。気長に,よい出会いを待つことにしよう。
 ちなみに,いま,手元にあるもっとも古いカメラは,C.P.ゲルツの「テナックス」というカメラである。知人から見せていただいた書籍によれば,大正時代(1910〜1925年)のものらしい。まずは「19世紀のもの」でなくとも,「明治時代のもの」であっても,私にとってはうれしいものである。

古書店に立ち寄れば,明治時代の書籍ならばわりとすんなりと見つかるようだ。今回は,こういうものを買ってみた。明治三十七年版の「尋常小学書キ方手本」というものである。明治時代の尋常小学校の第1学年,つまり学校において最初に書き方を習う文字は,なんだろう・・・・・・という単純な興味によって購入した。

文部科学省か公開している「学制百年史」(※1)によれば,当時の尋常小学校第1学年の,1週間の授業時数は21時間である。尋常小学校は4年制であり,理科や社会に相当する教科は高等小学校からの履修となる。「書キ方」は国語(週10時間)のなかの1科目という位置づけであろう。
 国語の「読本」の最初は,明治期であれば「ハト マメ マス ミノ」,昭和期であれば「サイタ サイタ サクラガ サイタ」であると聞く。ただし,実物を見たことはない。それに対して,明治期の「書キ方」の最初は,このような内容であった。

「タロー」「オチヨ」は,それぞれ,男子と女子の名前であろう。これらは,その当時,もっとも一般的な名前だったのであろうか。
 特徴的なこととしては,伸ばす音には「う」や「お」ではなく,もっぱら「ー」(オンビキ)が用いられていることだ。たとえばほかのページには「テッポー」「ビョーブ」「ショージ」「キュース」などが見られる。
 また,書き方を習う文字は,ひたすらカタカナであり,ひらがなは登場しない。しかし,最後に漢字も10文字,習うようだ。最初に習う漢字を10文字だけ選ぶとすれば・・・・・最後の4ページを見てみよう。なるほど,こういうことか。

※1 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpbz198101/hpbz198101_2_054.html


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