撮影日記


2007年05月31日(木) 天気:晴れ

マミヤの前玉回転式二眼レフカメラ

マミヤというブランドは,中判カメラのブランドとして認識している人が多いだろう。実際,最近は中判カメラのみを発売給している。また,マミヤは,ヤシカと並んで,二眼レフカメラを最後まで発売していたメーカーであるとして,特別な思いを持っている人もいるかと思う。
 マミヤが最後まで発売していた二眼レフカメラ「C220」および「C330」は,それ自体にも大きな特徴があった。それは,レンズ交換ができることである。
 レンズ交換ができると,撮影の幅が大きく広がる。とくに一眼レフカメラでは,交換したレンズの効果をそのままファインダーで確認できるという大きな特徴があり,カメラの形態の主流の座を,距離計連動ファインダーをもったビューファインダーカメラから奪い取ってしまった。ところで二眼レフカメラの外観は,ファインダーに像を写すためのビューレンズと撮影のためのテイクレンズが,縦に2つ並んだものになっている。そのため,撮影レンズだけを交換しても,交換したレンズの効果を確認することができない。そこで,マミヤ「C220」や「C330」では,ビューレンズとテイクレンズのついたレンズボードごと交換するというしくみを実現している。

ところで,なぜ「C220」や「C330」という名称になっているのだろうか。AあるいはBなどというカメラもあったのだろうか?マミヤ・デジタル・イメージング株式会社のサイトにある「カメラ博物館」(※1)を参照すれば,AやBがあってのCであることが理解できる。
 ところで,二眼レフカメラを機能で分類するときは,次の2点が大きな要素となる。
 1つは,ピント調整の形式である。これは,ノブ等でレンズボードを動かして調整する「前板(レンズボード)繰出式」(以下「繰出式」とする)と,ビューレンズとテイクレンズがギアで連動する「前玉回転式」(以下「回転式」とする)に分類される。
 もう1つは,フィルム送りの形式である。自動的にフィルムのはじまりを検知し,1コマごとに自動的に巻き止めがはたらくものは,「オートマット」と呼ばれる。一方,120フィルムの裏紙に印刷された数字を覗き窓から見てフィルムを送るものは,「赤窓式」と呼ばれる。覗き窓は,濃い赤に着色されていることに由来する。そして,最初はスタートマークにあわせたり,1コマ目だけ「赤窓式」であわせたりしたあとは,自動的に巻き止めがはたらくものは,「セミオートマット」と呼ばれる。
 マミヤの最初の二眼レフカメラは,「マミヤフレックス・ジュニア」という,回転式でセミオートマットのカメラであった。なぜ最初から「ジュニア」という名称がついているのかと不思議に思うところだが,これは,このあとに発売される「マミヤフレックス・オートマットA」という,繰出式でオートマットの高機能な製品のダイカストを流用して先行発売されたものとのことだ。
 「マミヤフレックス・オートマットA」のあとには,繰出式でセミオートマット化して価格を下げた「マミヤフレックス・オートマットB」が発売され,その後,レンズ交換も可能になった「マミヤフレックスC」の発売へと続くのである。

「マミヤフレックス・ジュニア」のあとにも,回転式のカメラが発売されている。巻き上げとシャッターチャージが連動する,セルフコッキングの「マミヤフレックスI型」と,さらにセルフタイマーと透視ファインダーが付加された「マミヤフレックスII型」である。なお,回転式カメラのシリーズは,このあと「マミヤフレックス・オートマットB」に発展して消滅した,といえるかもしれない。
 このたび,「マミヤフレックスII型」を友人から無期限貸与していただくことになった。さっそく使ってみたのだが,「回転式」カメラなのに,「セミオートマット」や「セルフコッキング」という高機能が搭載されている点に,大いに違和感をもってしまう(笑)。違和感はあるのだが,シャッターレリーズボタンの位置やシャッターロック機構などもよく考えられており,たいへん使いやすいカメラになっていることは間違いない。また,「オートマット」は便利なのだが,フィルムの最初をうまく検出できなかったりすると「困ったこと」になってしまう。「セミオートマット」がもっとも実用的ではないかと,私は思っている。

「マミヤフレックスII型」

※1 http://www.mamiya.co.jp/home/camera/museum/top3.htm/index.htm


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