撮影日記


2007年01月15日(月) 天気:晴

ベビーパール

このたび「カメラミュージアム」の方に,多くのカメラの寄贈をいただいた。この場をお借りして,まずは厚く御礼申しあげたい。

そのなかに,六櫻社「ベビーパール」が含まれていた。六櫻社は,コニカの前身にあたる会社である。また,「パール」は,蛇腹をもったハンドカメラやスプリングカメラに与えられた名称のようだ。「ベビーパール」は,「パール」シリーズのなかでもとくに小型のものという位置づけのカメラである。このカメラは,ベスト判とよばれる127フィルムを使用し,通常のベスト判のフォーマットを半分にして使う,ベスト半裁判とよばれる3cm×4cm判のフォーマットになっている。
 ベビーパールは,1934(昭和9)年から戦後にかけて発売されたようだ。今回入手した「ベビーパール」には,Hexar Ser.I 50mm F4.5 のレンズがついており,これは1934年のモデルのようだ。
 ボディ底面のボタンを押すと,バネの力でレンズボードが飛び出す,いわゆるスプリングカメラになっている。シャッター速度は,B, 1/25, 1/50, 1/100が選べるようになっている。レンズの横にあるレバーを押すことで,シャッターレリーズがおこなわれる。なお,シャッターをチャージする必要はなく,そのレバーを押すだけで,何度でも露光をおこなうことができる。ましてや,巻き上げとシャッターチャージが連動しているはずもない。
 ピント調整は目測式で,最短撮影距離は1mほどである。シャッターレリーズやピント調整はおこないやすいが,絞りの操作は前カバーのために少々おこないにくい。巻き上げは「赤窓式」で,2つの赤窓でそれぞれの数字を出すことで,半コマずつ巻き上げられるようになっている。このように,まさに必要最小限の機能だけをもったカメラなのである。

ところで,入手した直後,この「ベビーパール」のレンズは激しく曇っており,蛇腹には破れた箇所がある。このままでは,試し撮りもできる状況ではない。さっそく,レンズの清掃からとりかかることにする。レンズは,無限遠のところにある小さなストッパーをはずし,そのまま回していけば,簡単にはずれて清掃ができる。幸い,激しいカビなどは認められず,クリーナー液を使って拭くことで,曇りは除去することができた。
 次に,蛇腹については,別の黒い革を細く切って貼ることで破れ目や穴をふさぐようにした。とりあえず,撮影は可能な状態になったはずである。

さて,「ベビーパール」は,127フィルムを使うカメラである。127フィルムは,フジやコダック(さらにコニカも)が製造をやめているので,日本国内での入手が難しくなっている。幸い,以前,127フィルムを2本買っており(2004年2月29日の日記を参照),そのうち1本は,まだ使っていない(使用期限は過ぎていると思うが,ずっと冷蔵庫に入れていたから,まだなんとか使えるだろう)。問題は,次第に仕事が忙しい時期になってきており,いつ試し撮りができるのか,見通しがたっていないことである。

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