撮影日記


2006年11月17日(金) 天気:曇

「可部線の四季彩」
展示作品03 坪野

2004年5月1日,2日におこなった,「新・広島お気軽写真クラブ 第1回写真展」で展示した写真のうち,「可部線の四季彩」というテーマで展示した写真の3枚目は,この写真である。

Tachihara Fielstand45, FUJINON 150mm F5.6, EPN

秋になると,ヒガンバナがあちらこちらで見られるようになる。川の土手に,田んぼのあぜ道に,公園の隅に,あるいは庭先に,場合によっては線路際など,身近なところで見られる花である。日本で見られるヒガンバナは,毎年,秋のお彼岸のころになると花を咲かせるが,種子をつけることはない(中国には種子をつけるヒガンバナがあり,原産種だろうと考えられているらしい)。ヒガナバンは,種子をつけるかわりに,地下の球根が増えることで個体を増やしていく。球根の幅ずつ増えていくわけで,ある程度かたまって咲いているのが見られるのは,そのためだろう。
 通常のヒガンバナは,6枚の細長い花弁をもった花を,花茎の先に6個つけることが多いようだ。また,6本の雄しべと1本の雌しべが長く飛び出している。ヒガンバナは,空間的に大きな範囲を占める,実に立体的な花であるといえるだろう。したがって,マクロ的な撮影よりは,ある程度の群落をやや離れたところからねらうのが撮りやすいといえるかもしれない。しかし,この群落のなかに落ちていた紙くずに気がつかなかったことは,惜しまれる・・・・
 ここは坪野駅で,加計の側から撮っている。画面の向こう側が横川方面である。

ここでは,ヒガンバナの存在を強調するべく,低い位置からシフトアオリを効かせて撮っている。また,被写界深度を稼ぐために,ややチルトも利用している。使用しているのは150mmレンズなので,どちらかというと標準レンズといえるものである(ライカ判換算で43mmレンズ相当の写角となる)が,かなりの広角レンズで撮った雰囲気も同時に感じられるものと思う。
 フィルムは,EPN (Ektachrome Professional)を使用した。ヒガンバナの花の赤さは強調されないが,秋の澄み切った「空気感」(と言っていいのかどうかはわからないが・・・)を感じるには,このフィルムがもっとも適していると考えている。
 この写真を撮った「坪野」というところは,「鯉の里」と称している。集落のなかに水路がめぐらさているが,この水路には多くの鯉が見られる。それに関しては,この水路を美しく保つ意識をもつことができるように,鯉を住まわせるようになったという話を聞いたことがある。

坪野駅から少し加計方面に行ったところに,「国鉄2万kmの碑」というものがある。新線が開通するたびに,国鉄の路線延長が伸びていき,それがちょうど2万kmに達したということを示している。この地から鉄道はなくなったのだが,かつて日本国内に鉄道がつぎつぎに建設されていた時期があったことを示すこの碑は,これからもこの地に残るのであろうか。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 100mm F3.5, E100VS

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