撮影日記


2005年12月01日(木) 天気:くもり

コニカのフィルムはどこへ行く

コニカ「赤外750」などのコニカのモノクロフィルムが,いつのまにか店頭から姿を消していた。コニカのカラーポジフィルムを店頭で見かけることも,ほとんどなくなった。多くの写真店の店頭に並べられているフィルムは,そのほとんどがフジの製品である。コダックの製品ですら,隅のほうで小さくなっている状態だ。
 私は,コニカのフィルムを使うことへのこだわりはないので,なかなか気がつかなかったのだが,かつて「サクラカラー24」など,大ヒットしていたコニカのフィルムは,どこへ行ったのだろうか。

先月のことであるが,コニカミノルタホールディングス株式会社(以下,「コニカミノルタ」とする)のプレスリリースには,1つの時代の終焉を実感できるものがあった。それは,2005年11月4日付けのプレスリリースで「平成18年3月期 中間期及び通期業績予想と配当予想の修正について」と題するものであった。これは,業績が予想よりもよくないことを説明するものであるが,その理由としては,ディジタルカメラの普及によって,「写真」の市場が大幅に縮小していることが指摘されているように読み取ることができる。
 私たち一般のユーザにとって,ディジタルカメラには,フィルムという消耗品を買う必要がなくなり,DPEを依頼するという手間と出費を省くことができるというメリットがある。これはそのまま,フィルムなどの感材メーカーや,DPEのラボにとってのデメリットにつながっている。ユーザが,ディジタルカメラに移行すれば移行するほど,「写真」の市場は小さくなっていくのである。思えば,「写真」とは,儲かる商売だったのかもしれない。フィルムを売ることで売上が発生し,それを現像処理することで売上が発生し,焼き増しなどでさらに売上が発生する。しかし,いつしかDPEの価格破壊が進み,なかなか利益があがらないようになってきたようだ。カメラも含めた価格の低下については,先のプレスリリースでも指摘されている。また,ラボの淘汰・統合も進んでいったが,ディジタルカメラの普及によって,絶対的に市場が小さくなったのが現状であろう。

同時に,カメラも売れなくなっているのだろう。最近のカメラの新製品といえば,ディジタルカメラばかりが目だつ。また,ディジタルカメラを発売しているのは,従来の「カメラ」のブランドばかりではない。家電ブランドや,パーソナルコンピュータの周辺機器のブランドからも,発売されている。さらに,携帯電話機にディジタルカメラ機能が内蔵されたものも含めれば,圧倒的にディジタルカメラばかりが登場していると考えることができる。
 この傾向は,ますます進んでいくように思われる。

先のプレスリリースでは,コニカミノルタのカメラ事業の戦略として「デジタルカメラ事業の拡大戦略を高付加価値分野への絞り込み戦略へ、大きく転換を行う」と述べられている。これは,単価が小さく,競合製品の多いコンパクトカメラ型ディジタルカメラでの勝負を避け,一眼レフのディジタルカメラの開発に力を入れてきたことをあらわしていると考えられる。そのうえで,今後,収益を改善するために,「大幅な規模の縮小」をおこなうことが表明されている。また,生産に関しては「品種の絞りこみ」という言葉が使われている。
 以上のことなどに注意しながらプレスリリースを読むと,コニカミノルタが,フィルム等の感材から撤退するのが時間の問題ではないか,と思わざるを得ない。カメラについては,αシリーズ(一眼レフ)のディジタルカメラについては,まだしばらくは開発を続けそうに思われる。
 「コニカ」(小西六本店)は,日本で最初に,「カメラ」を発売したブランドであるとされる。また,「24枚撮」のパトローネ入り35mmフィルム,「サクラカラー24」のヒットも,まだ,多くの人の記憶に残っていることであろう。「コニカ」ブランドが,事実上,「カメラ」「写真」市場から消えていくことには,「コニカ」のフィルムの愛用者ではなかった者としても,少し寂しいものを感じる。

1本88円で売られていたコニカのフィルム

私が立ち寄ることの多い「カメラのキタムラ」のある店舗では,コニカの24枚撮りネガカラーフィルムが,数量限定特価として,1本88円で売られている。これは,フィルムが売れなくなったという状況をあらわしているとともに,コニカのブランドが見られなくなる前兆のように思えるのであった。


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