撮影日記


2005年08月01日(月) 天気:晴れ

「オートドライ」と「ドライ・キャビ」

夏は,人間にとってだけではなく,カメラにとっても厳しい季節である。カメラの保管に,防湿庫を利用している人も,少なくないだろう。カメラ関係の雑誌などでよく宣伝されている防湿庫のメーカーは,2つある。1つは,「オートドライ」などの名称の製品を発売している「東洋リビング株式会社」,もう1つは「ドライ・キャビ」という名称の製品を発売している「トーリ・ハン株式会社」である。
 ところで,「オートドライ」と「ドライ・キャビ」には,それぞれどういう特徴があるだろうか,簡単に比較してみよう。

「オートドライ」が,庫内の空気を除湿するしくみは,「電子ドライユニット方式」と称している。まず,5時間ほど,庫内の空気に触れている乾燥剤に水分を吸収させる。次にそれをヒーターで熱すると同時に,庫内に通じるシャッターを閉じ,外部へのシャッターを開く。この状態で1時間ほど熱することで,乾燥剤が吸収した水分を庫外へ排出するというしくみだ。
 この方式の特徴として,「電気代が安い」「動作音が静か」「除湿効果が一定」というものが,謳われている。

「ドライ・キャビ」は,製品によって2種類の違った除湿のしくみが使われている。1つは「特殊乾燥剤方式」と称しており,もう1つは「サーモモジュール方式」と称している。「特殊乾燥剤方式」は,「オートドライ」の「電子ドライユニット方式」と同じようなしくみのようだ。
 「ドライ・キャビ」では,もう1つの「サーモモジュール方式」を前面に出して宣伝しているようすがうかがえる。製品紹介では,たいてい「サーモモジュール方式」のものを先に紹介しているようだ。これは,異なる金属を接合し,そこに電流を流すと,その接点で熱の発生(または吸収)がおこる現象を利用して,庫内の水分を金属板に結露させ,その「水」を庫外へ排出するようなしくみになっている。
 この方式の特徴として,「急速に除湿できる」ことが謳われている。

ところで,これらの製品の「宣伝文句」をもう少しよく見てみよう。
 「オートドライ」の宣伝文をよく読んでみると,「類似品に注意」という表現を目にすることだろう。その内容は,「ドライ・キャビ」の「サーモモジュール方式」を批判するものに見える。
 一方,「ドライ・キャビ」の宣伝文をよく読んでみると,「特殊乾燥剤方式」も「サーモモジュール方式」も,自社の特許によるものだということを主張している。
 両社は,敵対関係にあるのではないか,と思われるのである。

つぎに,「東洋リビング株式会社」と「トーリ・ハン株式会社」について,くらべてみよう。まず,「東洋リビング株式会社」は昭和49年の創業ということになっている。一方の,「トーリ・ハン株式会社」は昭和58年の創業ということになっている。「ドライ・キャビ」が後発製品のようだ。これが,「オートドライ」が,「類似品に注意」という表現をする原因になっているのだろう。
 こういう露骨な敵対関係は,いつごろから見られるようになったのだろうか。昔の「日本カメラショー総合カタログ」や「写真用品ショー総合カタログ」を見てみることにした。その結果,1989年の「日本カメラショー総合カタログ」で,はじめて「ドライ・キャビ」が「全製品モデルチェンジ」として登場していることがわかった。そのメーカー名を見ると「トーリ・ハン(旧・東洋リビング販売)」と書いてある。もともと,「東洋リビング株式会社」と「トーリ・ハン株式会社」は,「仲間」というか,製造会社と販売会社という関係だったのだろうか?
 その1年前の,1988年の「日本カメラショー総合カタログ」を見てみると,「オートドライ」を「東洋リビング」と「東洋リビング販売」が発売していることになっている。

この1年の間に,きっと「なにか」があったのだろう。

以下は,勝手な想像である。
 「ドライ・キャビ」の「サーモモジュール方式」には優れた面もあるが,「オートドライ」側が指摘するような欠点もある。そこで,社内でその採用をめぐって争いが起こったのではないだろうか。その結果,一部技術者が販売会社と組んで,独立してしまったのではないだろうか。そういう経緯があるならば,「オートドライ」側が「ドライ・キャビ」側を敵視するのもうなずけるというものだ。
 このあたりの事情をよくご存知の方がおられれば,差しさわりのない範囲で,教えていただければ幸いである。

ちなみに,うちでは,1998年に買った「オートドライ」をずっと使っている(1998年4月11日の日記を参照)。

AUTODRY

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