撮影日記


2005年07月03日(日) 天気:大雨ときどき小雨

キミは『ズバピン』を覚えているか?

昨日につづいて,今日もすさまじい雨である。午後には小康状態になったが,明日はまた激しく降るらしい。

YASHICA Auto Focus昨日,発掘した2台のカメラのうちのもう1つは,「ヤシカ オートフォーカス」である。名称に,なんのヒネリもないところが,潔いというかなんというか。発売当時の「日本カメラショー」総合カタログを参照すると,

『ズバピン』の愛称で話題集中・・・

とある。はじめて商品化されたオートフォーカスカメラ,「コニカC35AF」の愛称は「ジャスピン」(ジャスト+ピント=ピントがちょうどあう という意味かな?)で,たいへんな話題になった。しかし,「ズバピン」(ズバリ+ピント=ピントがズバリあう という意味かな?)が話題になったのかどうか,残念ながら私には記憶がない。あなたは覚えているだろうか?

ところで,初代「ジャスピンコニカ」は,自動的にピントをあわせてくれるという画期的なカメラであったが,重大な欠点も指摘されていた。それは,「中抜け現象」が発生することである。測距点が中央の1点だけのため,並んだ2人を撮ろうとすると,2人の間の遠景にピントがあってしまい,2人ともピンボケになってしまうという現象である。
 「ズバピンヤシカ」には,それを避けるために「フォーカスロック」機構が搭載された。これにより,まず人の顔の位置でピントをあわせて「フォーカスロック」しておき,次にカメラの向きを変えて撮るようにすれば,中抜け現象がおきずに,きれいに写すことができるわけである。
 ただし,その操作は少々ややこしく,ある程度,撮影に馴れた人でなければ,これを意識した撮影をすることは難しかっただろう。この種のカメラは,本来,「押すだけで写る」カメラを求める人が使うものだから,「フォーカスロック」だけでは不十分である。「中抜け現象」を回避するには,後年の多点測距機構の登場を待たなければならなかった。

ところで「ズバピンヤシカ」には,デザイン面でも特徴がある。ヤシカで最初のフラッシュ内蔵カメラ「ヤシカ35MF」と同様に,使わないときは,フラッシュの発光部が隠れるようになっている点だ。「ピッカリコニカ」「ジャスピンコニカ」とは違い,見た目の印象をやさしくすることに貢献していると感じられる。
 この時代のオートフォーカス機構は,スプリングで引っ張っておくことによって,レンズを駆動させる。そのため,巻き上げ時の音も大きく,ピントがあうときにも,爆音が発生する。中抜け現象のことや価格差もあって,しばらくは各メーカーとも,目測式フラッシュ内蔵カメラと併売される時代が続いたのだろうかと思う。

ところで,昨日の日記に書いた,「ぬれてもピカソ」は故障していなかったようだが,この「ズバピンヤシカ」も,とくに故障はしていないようだった。こういうカメラをジャンクコーナーから発掘できたことはラッキーであるが,少し「つまんない」という気分もある。「簡単な修理で復活」というのが,いちばん楽しいのである。


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