撮影日記


2005年05月18日(水) 天気:晴

シャッター速度固定のカメラ

写真の像は,フィルムに適切な量の光があたることで得られる。フィルムにあたる光の量を調節する手段は,一般に,2通りのものが与えられている。1つは,フィルムに光があたる時間を変化させる方法である。もう1つは,レンズを通る光の量を変化させる方法である。
 フィルムにあたる光の量は,あたる時間の長さと,通る光の断面積に比例するといえる。光のあたる時間を2倍にすれば,通る光の断面積を1/2にすればよい。光のあたる時間は,「シャッター速度」という言葉であらわされている数値を変更して調節する。通る光の断面積は,「絞り値」という言葉であらわされる数値を変更して調節する。
 誰にでも使えることを狙ったタイプのカメラは,この2つの要素を自動的に変化させ,適切な量の光がフィルムにあたるように,すなわち適正な露出がおこなわれるようにしてくれる。

1枚の写真を見ると,そこには明るい部分もあれば,暗い部分もある。最適な量の光があたっている部分は,ごくごくわずかであろう。たとえば,感度ISO100のフィルムを使った場合,晴天の昼間であれば,シャッター速度1/125秒,絞り値F11くらいが適性となる場合が多い。しかし,直射日光のあたっている部分は光があたりすぎていたり,日陰の部分ではあたる光が少なすぎたりしている。
 しかし,適切な光の量にはある程度の許容範囲がある。それは中心から上下におよそ4倍の範囲がある。露光時間が1/125秒であれば,1/500秒から1/30秒くらいは,許容範囲におさまり,きれいな像が得られるということである。
 その許容範囲の広さを利用して,シャッター速度や絞り値を固定した,簡便なカメラが多くつくられている。その代表的なものが,「レンズつきフィルム」と呼ばれる製品である。

シャッター速度や絞り値が固定されたカメラは,「レンズつきフィルム」以外にも,多くのものが流通している。その多くは,おもちゃのようなカメラであり,非常に安価である(例:フジフィルム「スマートショット」)。なかには,「おもちゃ」である,と言い切っているカメラもある(例:ダイソー「おもちゃのカメラくん」 なんと100円!)。これらのカメラは,非常に安価であることと引き換えに,使い心地のようなものへの配慮は,かなり割り切られている。シャッターレリーズのときにも,パチンという,安っぽいバネの音がストレートに聞こえてくる。

 さて,ここに「ミラックス チャンピー35」というカメラがある。シャッター速度やピントは固定されている,簡便なしくみのカメラである。しかし,メーカー希望小売価格は1万円台である。その値段の高さは,どこに秘められているのだろうか?1つに,このカメラは,絞り値を変化させることができる。とはいっても,それはフィルム感度の設定を変化させるだけのものであり,実質的には絞り値も固定されていると考えた方がよいだろう。もう1つ,このカメラのシャッターレリーズはひじょうに滑らかである。これは,意外なことで,驚いてしまったものだ。
 当時の,一般的なコンパクトカメラのメーカー希望小売価格は,3〜4万円台なので,このカメラが安物であることは間違いない。それだけに,この滑らかなシャッターレリーズボタンには驚いてしまったのである。

MIRAX Champy35, 33mm Lens, GOLD200

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