撮影日記


2004年10月14日(木) 天気:晴れ

写真展「関係ない椅子」

シアターNICHI-GIN04

職場の先輩が,「シアターNICHI-GIN04」というイベントに関わっていた。先月,突然に「部屋が余っているけど写真でも展示する?」とのお誘いをいただいた。それがどんなイベントなのか,きちんと確認せずに,2つ返事で「する」と答えてしまった。
 これはどんなイベントなのか,よく聞いてみると「演劇と音楽と映像の空間劇場」ということになっている。「シアターNICHI-GIN04」の「NICHI-GIN」は,いわゆる被爆建物である旧・日本銀行広島支店を指す。この建物は,広島市が無償貸与を受けているもので,その今後の活用方法が議論されている。現時点では,市民の活動の場として,使用することができるようになっているとのことである。「シアターNICHI-GIN04」は,この建物を,さまざまなジャンルの催し物(演劇,ライブ,パフォーマンス,自主制作映画上映など)がおこなわれるシアターとみなし,さらに「+アート」として,芸術活動をしている人が作品を発表することが予定されていた。
 さて,そこに参加されるアーティストたちのことをよく知っているわけではないが,収集した情報によると,どちらかというと現代芸術的としてカテゴライズされるであろう作品が集まりそうなことがわかった。であれば,普通にきれいに撮っただけの風景写真などはおそらく不釣合いだろう。自分がこれまでに撮ってきたもののなかで違和感なさそうなものとしては,「関係ない椅子」くらいしかない,という判断に至った。

展示のための設備はないに等しい

この5月におこなった「新・広島お気軽写真クラブ」としての写真展は,西区民文化センターの「ギャラリー」という部屋を利用した。この部屋は「ギャラリー」なので,作品をつるためのワイヤーやスポットライトなど,展示のための設備はそろっている。ところが,旧・日本銀行広島支店の建物は,まだ使用目的が定まっておらず,少なくともギャラリーではない。また,広島市の重要文化財という扱いになっている。したがって,展示のためのパネルや照明などがそろっているわけでもなく,壁にものを貼ったり打ち付けたりすることはご法度である。どうやってどれだけの写真を展示しようか,迷うことになる。
 とりあえず,割り当てられた「考査役室」の下見に行ってみた。あまり広い部屋ではないので,写真をたくさん用意する必要はなさそうだ。だが,額縁をひっかけられるような場所はまったくない。そんなとき,「新・広島お気軽写真クラブ」のメンバーの一人(彼も誘ってみたところ,展示に参加することになった)が,園芸用のラティスを壁にもたれさせて展示してみようか,というアイデアを出してくれた(彼はけっきょくワイヤーメッシュというものを利用した)。
 そこで,私もラティスを買うことにした。ホームセンターなどで売られているラティスには,さまざまな種類がある。展示するスペースを確保するには大きいほうがよいが,運搬や使用後の保管のことを考えれば,あまり大きすぎると不都合である。いろいろ検討した結果,1800mm×600mmのものを5枚購入することにした。

搬入・設置・展示

5枚のラティスは,蝶番で2枚と3枚に連結した。こうすると,屏風のように自立してくれるようになる。次に,100円ショップで売られているS字フックを大量に用意し,これを利用して額縁を吊り下げるようにした。照明は,安物の小型スポットライトを利用した。部屋が狭いので,これでもけっこう効果的である。これは,ホームセンターで売られていたもっとも安いスポットライトを在庫していただけ買ったものである(笑)。こうして,展示の形は整った。
 ちなみに額縁は,フジカラー販売の廉価版アルミフレーム「YA−2」というものを利用している。今回は写真が正方形のため,既製品ではマットがあわないため,東急ハンズで適当な厚さのある紙を見つけ,マット紙の代用に用いた。今回の展示は9日間にわたって無人となる時間がほとんどである。万一,ラティスが転倒したりして額縁のガラスが飛び散るような事故があると困るので,額縁のガラスは抜いておいた。おかげで額縁は非常に軽量化を達成した(笑)。
 こうして2005年10月15日から24日まで,9日間の展示が始まったのである。


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