撮影日記


2004年09月02日(木) 天気:曇のち晴

初めてカメラを買おうと思う人へ(2)

一眼レフカメラとは

前回は,電子式ではないマニュアル式35mm一眼レフカメラを検討してみようと書いたわけだが,まず,現在では高級カメラの代名詞とでもいえる「一眼レフカメラ」とは,どういうカメラなのか,いわゆる「コンパクトカメラ」と比較しながら確認しておこう。
 コンパクトカメラでは,撮影用のレンズとは別に,ファインダー用のレンズがある。それに対して,一眼レフカメラには,撮影用のレンズがあるだけで,ファインダー用のレンズはない。これが,「一眼」という意味である。
 1つのレンズを通った光を,フィルム面に送ったり,ファインダーに送ったり,切り替えることができるように,カメラのなかには動くミラー(反射鏡)がある。このミラーの存在が「レフ」(レフレックス)の意味である。

一眼レフカメラの長所

一眼レフカメラの特徴は,ファインダー用のレンズと撮影用のレンズが同じものであることと,内部に動くミラーが存在することである。これはそのまま,一眼レフカメラの長所と短所に直結する。
 その最大の長所は,フィルムに写る像と,ほぼ同じ像を,ファインダーで確認できることである。
 コンパクトカメラで人物を撮影したら,頭や足が切れてしまった,という経験はないだろうか。この原因には,プリントのときにフィルムの周辺部を使わないようになっていることが大きい。しかし,フィルムを確認してもやはり頭や足が切れていることはあるだろう。それは,撮影レンズの位置と,ファインダーのレンズの位置がずれているため,撮影範囲ギリギリのところに誤差が生じたためである。また,コンパクトカメラのファインダーには,撮影範囲を示した枠が見えるが,目の位置を変えると,枠に入る範囲が微妙にずれてくる。つまり,コンパクトカメラのファインダーで見た範囲には,相当な誤差が含まれる可能性が高いということである。
 その点,一眼レフカメラの場合は,撮影レンズを通ってフィルムにあたるべき光を,ミラーでファインダーのガラスに映して見るようになっているため,ファインダーに見えているものは,必ずフィルムに写るようになっているのである。近接撮影であっても,望遠レンズを使っているときであっても,広角レンズを使っているときであっても,この優位性は揺るがない。また,この特徴を活かすことができるだけの,豊富な交換レンズが用意されていることも,一眼レフカメラの長所である。

一眼レフカメラの短所

短所としては,ミラーの動作により,シャッターレリーズ時の衝撃や音が大きいこと,露光の瞬間の像が見えないこと,機構が複雑になることなどがあげられるが,多くの点において,可能な限りの改善がはかられており,特別な静粛性が求められるなどの特殊な事情がなければ,気にするほどのことではないだろう。
 一眼レフカメラのシャッターレリーズの音や衝撃が大きいのは,動作が複雑なことと,重いミラーが動くことにある。一眼レフカメラは,シャッターが切れるときに,次のような動作をする。

  1. レンズの絞りを絞る。
  2. ミラーがあがる。
  3. シャッター幕が開き,所定の時間の露光をおこなう。
  4. シャッター幕が閉じる。
  5. ミラーがおりる。
  6. レンズの絞りが開放に戻る。

このような動きをする一眼レフカメラだが,初期の一眼レフカメラは,シャッターを切ったあと,ミラーがおりる動作と,レンズの絞りが開放に戻る動作がおこなわれなかった。ミラーは次の巻上げをおこなったときに,ようやくおりてきて,レンズの絞りは別に手動で開放に戻してやる必要があったのである。この点が,当時「一眼レフカメラは使えない」と言われていた事情なのだが,1950年代には技術的に解決されてしまっているので,もはや気にする必要などない。


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