撮影日記


2004年05月23日(日) 天気:晴

久しぶりに撮影にでかけよう

2月中旬以降,いろいろと忙しい日が続いて,写真を撮りに行く時間がほとんどとれなかった。さらに,5月1日,2日に写真展をしたこともあり,写真を撮るという動機が不足する状態にもあったようだ。それらがようやく落ち着いた今日,久しぶりに「写真を撮る」という目的のために出かけることにした。今日の被写体は,この冬に撮りはじめてそのあとが続いていない,三江線を選んだ。
 列車は動く。それも,けっこう速く動く。だから,撮影できる時間は,ほんの一瞬であると言える。また,ローカル線の列車は,とにかく運転本数が少ない。待っているうちに,天気や光線の状態が変わってしまうことは,よくあることである。
 ところが今日は,底抜けのいい天気であり,そういう心配はない。こういう「どピーカン」な日は,被写体に「どぎつい」影が出やすくて,必ずしも撮影日和ではないといえるが,列車を撮る場合はそうも言っていられない。動く被写体に対しては,少しでも速いシャッター速度を使いたいのである。明るいことは,たいへんありがたいことである。

チャンスは1日10回

運転本数の少ないローカル線でも,三江線はとくに少ない。JRによる運行が終了した,可部線(可部−三段峡)よりもさらに少ない。現在,撮っていこうとしている三次−口羽の区間では,1日5往復。朝に2往復,夕方に2往復,そして,日中午後に1往復だけである。この季節は,日が長いので,この5往復ほぼすべてを撮影対象にすることが容易である。ところが冬場であれば,朝の1本目と夕方の2本目は,周囲が暗くなり,撮影には制約が生じる。ともあれ,朝の2本目の列車の後は,午後の列車まで約6時間,列車がこない時間が続く。
 したがって,沿線のほかのものとあわせて,撮影のスケジュールを考えることになる。今日は,朝の列車を撮った後,数年来撮り続けている常清滝を撮ることにした。前週の台風接近に伴う大雨のせいか,この時期にしては水量が多く「ど迫力」である。そのためか,ここで写真を撮っている人も多く,「こんなに水量が多いのを見るのははじめてだ」と話しかけてきてくださった方もあった。10時くらいには滝の上部によく日があたるので,500mmレンズでこの部分だけを撮っておくのが気持ちよい。
 とはいえ同じパターンばかり撮ってもおもしろくなく,天気がよすぎて陰影差が激しすぎるため,お昼前には常清滝を離れることにした。「どピーカン」は,この滝には似合わない。

フィルタはおもしろい

午後の列車までは,まだまだ時間がある。いま,撮影対象は「三江南線」と呼ばれていた,三次−口羽の区間に限定しているが,口羽の2駅先に,「宇都井」という有名な駅があるので,ここを下見してみることにした。この駅は,とにかく高い高架上にある。ホームへは,地上から110段を越える階段を上がって行かなければならない。ここを通る列車は,さらに少なく1日4本である。だからというわけでもないだろうが,エスカレータやエレベータなどは用意されていない。一般に,ローカル線のおもな利用者は高校生と高齢者であると言われているが,この駅を高齢の方が利用するのは少々酷というものであろう。
 朝の列車は江平で,午後の列車は作木口と香淀で撮ったあと,夕方の列車を式敷で撮ることにした。三江線は単線であり,上下列車が交換できる駅は,三次と口羽の間では式敷だけである(この区間ではそれ以外に,過去に交換設備があったような痕跡の見られる駅がない)。駅に上下列車が並んだところを撮ろうと思うが,夕方になると日はかなり傾いてきて三次側から見ると「ど逆光」である(それはそれでいいんだろうけど,そういう撮り方はまた次回以降にでも・・・・)。やむを得ず口羽側から撮ることを考えたが,結局,ホーム上から撮る方法しか思いつかなかった。このとき,光線は「ど順光」(こんな言い方あるのか?)である。
 「どピーカン」の日の「ど順光」である。そのまま撮ってもつまらないので,最近譲り受けたハーフグラデーションフィルタを空の部分にかけてみることにした。譲り受けたものは何色かあるのだが,ここは素直にグレー(ND4)を使ってみた。結果としては,PLフィルタを使うよりも「どぎつい」と思える絵になったのである。

なお,「ど」は,意味合いを強める接頭語であることは,言うまでもない。


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