撮影日記


2003年12月21日(日) 天気:曇のち晴

三段峡の入り口

三段峡への観光客

この週末は,広島市内(いわゆる旧市内)でも,かなりの雪になった。しかし,今日の天気は回復傾向だというので,筒賀神社を訪れることにした。雪をかぶった大イチョウの姿を見ることができるかもしれないという期待があった。しかし,天気の回復にともなって,雪はどんどん溶けていく。大イチョウにも,相当な雪が積もったようだが,それが溶けつつあり,木の周囲は雨降りのような状態になっていた。
 その足で,三段峡の駅前も訪れてみた。さすがに,紅葉シーズンが過ぎると,ここは静かである。三段峡を訪れる観光客は,ここ10年ほどの間,減少傾向が続いているという。それでも,年間10万人を越える人が訪れており,その多くが秋の紅葉の季節に集中するという。そのために,マイカーでも訪れやすくなるように,三段峡駅前を整備する案も,地元自治体は持っているという。
 12月18日付けの中国新聞では,三段峡を世に広めることに大きく貢献したとされる,写真家の熊南峰氏を記念する碑を,三段峡の入り口に移転する計画があることを伝えている。また,博物館の建設を行政にはたらきかける考えもあるという。このように,三段峡駅前を「三段峡の入り口」として再整備することで,観光客の減少傾向に歯止めをかけようとする考えのようである。

主体はマイカーへ?

三段峡を訪れる人は減少傾向にあるとはいえ,それでもかなりの数の人が訪れている。そして,その多くが紅葉の季節に集中している。三段峡駅前にロータリーを整備しようとする背景には,鉄道という大量輸送機関がなくなれば,必然的に,ここを訪れるバスやマイカーが増えるだろうという考えがあるのだろう。実際,紅葉のピークのころには,三段峡駅前方面には車両の進入規制がかけられるなど,三段峡駅付近の駐車場は,十分な数があるとは言い難いし,車道の終点である駅前も狭いので,引き返す自動車で混乱することも予想される。
 そういう季節には,自動車は深入山の駐車場へ誘導される。そして,そこから連絡バスで,三段峡の入り口(三段峡駅前または水梨林道の終点)へ向かうことになる。三段峡駅前には,観光客を受け入れる十分なキャパシティがないために,入り口を分散させているということであると言える。
 もし,可部線を,ほんの一部区間だけでも動かすことができるなら,たとえば戸河内まででも動かすことができれば,戸河内駅の裏の「とごうちふれあいセンター」の駐車場を開放し,列車で三段峡の入り口まで人を輸送するという方法をとることができる。こうやって,三段峡への入り口をさらに増やすという方法も考えられるのではないだろうか。

玄関口はどこだ?

ときどき,「三段峡=三段滝」という誤解をしている人があるようだ。三段滝は,三段峡のなかの見所の1つにすぎない。三段峡への入り口は,5箇所あるとされる。樽床,餅ノ木,田代,水梨,柴木である。三段峡駅は柴木にある。ここには旅館や売店などもあり,三段峡の玄関口的な位置付けにあると言っていいだろう。
 ところで,熊南峰氏を記念する碑は,戸河内駅の近くにある。戸河内駅は,戸河内町の役場の前にある。駅から見て役場の向こう側には,古くからの戸河内の集落の中心がある。この付近は,戸河内という町の中心部である。また,熊南峰氏は,そのなかにある旅館から,三段峡へ何度も通っていたという。だから,熊南峰氏を記念する碑が戸河内駅の近くにあることは,何の問題もない。いや,むしろ,もっともふさわしい場所にあると言えるのかもしれない。
 先に触れた,中国新聞の記事は,この碑を,三段峡の入り口である,三段峡駅前に動かそうという計画があると読むことができる。三段峡を訪れる人には,戸河内駅まで,マイカーなりバスなりで来てもらい,戸河内駅から三段峡駅までを列車で輸送するという形をとることができれば,戸河内駅が三段峡の玄関口である,と言うこともできそうだ。そうすれば,熊南峰氏の碑を移転させる必要がなくなるだろう。


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