撮影日記


2003年03月12日(水) 天気:はれ

高倍率ズームレンズは出張に適しているか?

ニコンF−301

急遽,岡山への出張となった。とはいえ,広島からなら新幹線で40分ほど。訪問先までの実質所要時間も片道2時間あれば十分である。途中に写真を撮る余裕があるかどうかわからないものの,カメラは持っていくのである。
 今日,用意したカメラは,Nikon F-301である。このカメラを選んだ理由だが,先の日曜日に装填したフィルムを使い切りたかったからである。このカメラについて,簡単にまとめておく。発売は1985年,ニコンで初めてのワインダー内蔵一眼レフとして登場した。プログラムAEにも対応している。マニュアルフォーカスレンズでプログラムAEが使える数少ないモデルの1つである。外装にはプラスチックが使われており,チープな印象を受けるが,グリップも小さくホールディングはよい方であると感じる。
 使うレンズであるが,このカメラには,小型のレンズが似合う。たとえば,Ai NIKKOR 50mm F1.8S,たとえば,AF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.3-4.5S(New)などが考えられる。しかし,今日はTAMRON 28-200mm F3.8-5.6 (71A)を使ってみることにした。

タムロン71A

最近は,28mmから300mmをカバーするズームレンズも登場しており,28-200mmのズームレンズはごく一般的なものとなっているので,ひそかに所有しておられる方も少なくないものと思われる。今回持ち出した71Aというモデルは,タムロンでは最初の28-200mmズームレンズである。28-200mmのズームレンズはそれ以前にコシナなどからも発売されていたようだが,タムロンの71Aは画期的な小型化を実現している。
 このレンズを使ってみると,いざというときに28mmの広角域から200mmの望遠域まですぐに切り替えられるメリットの大きさを実感せざるを得ない。また,このレンズはアダプトール2という,タムロン独自のバヨネット交換マウント方式を採用している。マウントを交換することで,各社のボディに対応させることができる。交換レンズの入手が容易ではない,絶版になったシリーズにとっては,とくに重宝する機構だろう。
 一方で,このレンズには問題点も少なくない。まず,開放F値があまりに暗いことが気になってくる。とくに28mm時にF3.8というのは,ピントの山がつかみづらいという問題がある。また,最短撮影距離が2.1mという点も,使いにくい点である。

結論としては・・・

使いにくい点は,まだある。まず,ピントリングの無限遠が浮いている,言い換えればピントリングをいっぱいに回したところは,無限遠を通り過ぎているということがあげられる。開放F値が暗く,とくに広角側でピントの山がつかみにくいため,これは非常に困るものである。また,無限遠いから最短撮影距離までの,ピントリングの回転角が小さいことも,ピントあわせが難しく感じる要因の1つである。71Aはマニュアルフォーカスのモデルだが,オートフォーカスの71D(1992年発売)をベースに,その2年後(1994年)に発売されたものであることが,これらの点の要因であろう。
 つまり71Aは,いざというときに使えるレンズではあるが,これを主にして「快適に撮る」ことができるレンズではないようだ。ただ,F-301のプログラムAEと,高倍率ズームレンズ71Aの組みあわせは,非常に便利である。
 最後に,ピントリングはなめらかでかつ適度な抵抗感もある。この点については,悪いものではないことをつけくわえておこう。


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