撮影日記


2001年06月17日(日) 天気:はれ

旧型国電の余韻

山口県内のJR線に,小野田線という路線がある。その途中,雀田駅から,「本山線」と呼ばれる,全長2.3kmの支線が枝分かれしている。「本山線」の終点は,「長門本山」駅といい,海岸沿いに通る県道はさんだ,海岸のすぐそばで線路が終わっている。
 かつて,この先には,海底へも伸びる炭坑があり,そこから産出される石炭の搬出などを目的に,「本山線」は昭和12年に開通している。現在,「本山線」は,朝と夕方に,1両だけの電車が数回ずつ往復するだけの,静かな路線となっている。
 「本山線」を往復する電車は,「クモハ42形」といい,昭和8年に製造された電車である。この時代の旧国鉄電車が,現役で定期列車として走っている例は,もう全国的にここだけになっている,非常に貴重な存在である。

「本山支線」を訪れたのは,今日が3回目である。1回目は15年前,2回目は2年前である。
 15年前に訪れたとき,乗務員の人は「小野田線が廃止されるまでは走らせることになるだろう」と語っていた。このときは,正面に黄色い警戒塗装がされていたものである。
 最近まで,クモハ42形は2両が残っていた。クモハ42001とクモハ42006である。15年前と2年前に訪れたときは,どちらもクモハ42006が走っていた。ところが,このクモハ42006は,今年4月に廃車となり,クモハ42001がただ1両だけになってしまっている。
 今日の,乗務員の人の話では,この電車を走らせることも,そろそろ限界にきており,今年度中に運用が終了することになっているとのことであった。

 早朝6時前に,長門本山駅までクルマで行き,そこから雀田駅まで沿線をスナップしながら歩く。距離は3km足らずなので,ほどよい散歩にもなる。そして,雀田駅から電車に乗った。電車はゆっくりと走るが,その割には揺れが大きい。線路の状態もあまり良くないようであるが,台車やバネなど,かなり限界にきているのではないだろか。モーターのうなりが木製の車内に響きわたる,こんな電車に乗れるのも,あとわずかということのようだ。


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