撮影日記


1999年09月06日(月) 天気:あめのちくもり

43mmレンズ

35mm判の標準レンズは,一般に50mmだと言われる。これがなぜ「標準」なのかは謎だが,どこのメーカーでもラインアップされている焦点距離のレンズである。
 実際に使ってみればわかることだが,この種のレンズは便利である。また,F1.8やF1.4などの「大口径」レンズが当たり前で,また格安である。1つ持っておいて,絶対に損はしないだろう。

しかし,個人的には,もう少し焦点距離の短いレンズの方が構図を作りやすいと感じている。つまり,焦点距離で40mm〜45mmくらいのレンズだ。特に,43mmという焦点距離を使いやすいと感じる。これに気づいたのは,6×9判カメラを使っているときだ。6×9判の100mmレンズが,ちょうどこれに相当するのだ。さらに最近,気づいたことだが,4×5判の150mmレンズも同様であり,使い勝手がよかった。
 さて,35mm判カメラ用のこのクラスのレンズにもいくつかある。しかし,不思議とこれらのレンズは,廉価版のうす型レンズであることが多い。発売当時は「安物」として嫌われていた傾向もあるが,最近では「パンケーキレンズ」として,コレクターの注目を集めているから不思議だ。

さて,ニコン用としては,GN NIKKOR 45mm F2.8というレンズがある。これも,コレクターどもによって価格がつり上げられてしまい,一般には不当に高価である。そこで,35mm-70mmクラスのズームレンズを利用する手も考えられるが,ニッコールには43mm-86mmというズームレンズがあったことを忘れてはいけない。これは,ニコンFマウント用レンズとして,早い時期からラインアップされたレンズであり,かなりの人気になったものだ。そのせいか,中古品が実に安価に入手できる。

Zoom-NIKKOR 43mm-86mm F3.5(Ai改)
安価な普及型ズームレンズであるにも関わらず,開放値がF3.5で一定であることは特筆に価する。

43mmという画角は,いわゆる「お散歩」のお供に手ごろである。しかも,86mmまでのズームレンズなので,実に使いごろな焦点距離だと言える。普及型ズームレンズとして,開放値がF3.5なのは,大口径と言っていいだろう。また,ワイド側とテレ側で,明るさが変化しないのもいい。特に,マニュアルカメラには,直進式ズームレンズはぴったりだ。
 このように非常に心地よいレンズであるが,普及型ズームレンズとしての欠点は隠せない。それは,歪曲収差があまりに大きいことだ。したがって,下のような,直線を活かしたい構図には適さない。

タル型の歪曲収差が非常に大きい。こういう収差があまり気にならない被写体に使おう。

Nikon F3, Zoom-NIKKOR 43mm-86mm F3.5 (as 43mm), EB-2


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