撮影日記


1999年07月07日(水) 天気:はれ

ロモ「ソコール2」

 先月,「ソコール2」というカメラを買った。大阪梅田のレモン社である。そもそもは「キエフ4」を探しにいったのだが,求めていたモデルは在庫していなかった。そんなときに,ふと見たウィンドウに,この「ソコール2」があった。外見的に,特に目立った特徴はない。しかし,ロゴがキリル文字であることと,¥4,000という衝動買いのできる価格であったことから,ついつい買ってしまったものである。
 手にとって,じっくり観察してみると,2重像合致式距離計連動のシャッター速度優先式EEカメラであることがわかった。これは「お散歩カメラ」として都合よさそうである。しかも,EEだけでなくマニュアル露出もできる。レンズは INDUSTAR-70 50mm F2.8 という銘になっている。このあたりのスペックや,全体の印象は,「キヤノネット」に近い感じがする。

さっそく,AGFA HDC100plusを装填し,「ソコール2」をもって平和祈念公園へでかけた。本当はAGFA HDC400plusを装填したかったのだが,「ソコール2」のフィルム感度設定は,25〜320しか対応していないのである(笑)。
 平和祈念公園で何を写そうかしばし考えた。やはり,ロシアレンズとアグファのネガカラーの組み合わせでは,どんな発色をするかがもっとも気になることだ。そこで,「原爆の子の像」を写すことにした。周囲には色とりどりの折鶴が供えられている。そこで,折鶴の山を前ボケにして,その向こうに像を配置した。結果は,下の写真の通りである。当然,PLフィルターなどは使っていない。これだけの発色をしてくれれば十分すぎるであろう。
 雑誌などで,「ロシアレンズは値段の割によい描写を示す」,「ロシアレンズやロシアカメラは作りが粗雑だ」という評価がよく見られる。「ソコール2」もそれに該当すると思う。このカメラ,貼り皮の糊がはみ出していたり,金属部分の表面がまさに粗削りな感じがするなど,外見は決してよくない。また,距離計がかなりずれていたので,分解して調整を試みたたが,距離計をシャーシに止めるネジを締め直すだけで簡単に直ったのである。このように,かなりおおざっぱな組み立てがなされているものと想像できる。その反面,描写は驚くほど鮮やかだったりするのだ。

しばらく,「ソコール2」を持ち歩いてみたが,問題はやはり重さであろう。とにかく大きく,重いのだ。「キヤノネット」というよりも,「ミノルタハイマチック7」という感じだ。もっとも,シャッター速度優先EEという仕様は,やはり「キヤノネット」である。
 「ソコール2」のレンズの焦点距離は50mmである。したがって,38mmから28mmといった広角系のレンズを搭載しているものが主流の最近のコンパクトカメラとは,やはり使い勝手が違う。「ソコール2」を持っているとき,これはコンパクトカメラだという意識が働いているせいか,いざファインダーを覗くとそれは広角系レンズの視野ではないことを改めて思い知らされるのである。
 広角レンズというものは,日常の視野とは異なる世界だからか,案外と「絵」を作りやすいと感じる。特に,こういう場面では,安易に広角レンズを使いたくなるところだ。だが,レンズ交換のできない「ソコール2」では,近づいたり遠ざかったり,背伸びしたりしゃがみこんだり,アクティブにならなければ思った構図が得られない。このカメラは,50mmレンズの楽しさを思い出させてくれたような気もするのである。

SOKOL 2,
INDUSTAR-70 50mm F2.8,
1/125sec, F8 (AE),
HDC100plus


← 前のページ もくじ 次のページ →