撮影日記


1999年04月24日(土) 天気:雨のち晴

クモハ42は健在なり

天気予報は,一日中曇りで,ところにより雨とも言う。ところが,西へ行くほど天気がよいらしい。そこで,10数年ぶりに,小野田線のクモハ42を見に行くことにした。もちろん,見るだけじゃないよ。撮って,さらに時間が許せば乗ってみようと思ったわけだ。
 山口県の小野田市を走るJR小野田線には,「本山線」と通称される支線がある。これは「雀田」駅から分岐し,長門本山駅に至る線である。延長は3kmにも満たず,全区間単線のいわゆる「盲腸線」である。この線には,昭和8年製の電車「クモハ42型」が走っているのである。

昭和30年代半ば以降,新しい技術により,電車の性能が飛躍的に向上した。そのような車両を「新性能車」と呼び,それ以前のシステムの車両を「旧型車」と呼ぶことが多い。「新性能車」の特徴の1つに,電動車(動力モーターを備える車両)2両を1組とし,2両に必要な機器を分散させるシステムが採用されていることがある(MM’ユニット式)。さらに,このユニット化された電動車と付随車(動力用モーターを備えない車両)を適宜組み合わせて運用されるため,1編成が少なくとも3〜4両で構成されざるを得ない(「新性能車」の特徴はほかにもいろいろあるが,ここでは省略)。
 ところが,全国各地のローカル線では,1編成が2両程度で間に合うところが多い。そこで,都市圏の線区には次々に「新性能車」を投入し,余剰になった「旧型車」をローカル線に回すようになった。

ここでとりあえず,JRの電車に付けられている記号について,簡単に触れておく。
 「ク」は,制御車を表す。運転台のある車両だ。
 「モ」は,電動車を表す。動力用モーターを搭載している。
 「サ」は,付随車を表す。運転台も,動力用モーターもない車両である。
 「クモ」とあれば,運転台もあり,動力用モータもあることを示す。

やがて,ローカル線の利用者低下を防ぐために,車両の近代化が試みられた。ユニット式ではない「新性能車」を開発したが,これは運転台が車両の片側にだけあり,「クモ」と「ク」の2両1組で運用するようになっている。
 ところが,本山線の場合,2両でも多すぎるのだ(笑)。また,駅も1両分の長さしかないのである。したがって,運転台が車両の両端についているタイプの車両が欲しい。ところが,そういうタイプの電車は,旧型車にしかない。また,幸いにも廃止対象路線にもならず,その結果,旧型車が奇跡的に生き延びることができたのである。

以前は,3両(クモハ42001,42005,42006)が在籍していたらしいが,今,運用されるのは,2両だけである。42005は廃車となり,修理のための部品取り用に保管されているらしい。


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