撮影日記


1998年12月16日(水) 天気:はれ

お散歩カメラ

私は主として風景を撮る。そのためのメインカメラといえるものは,マミヤユニバーサルプレスだ。やはり,風景は,コマ数は少なくともじっくり構えて,大画面で撮りたいものである。ただ,マミヤユニバーサルプレスでは機動性,速写性が乏しく,レンズのバリエーションも少ない。それを補うためにニコンの一眼レフも備えている。
 一方で,「お散歩写真」と称して,スナップ的に撮影することも楽しい。このためのカメラは,とにかく小型であることが重要であり,速写性もほしい。また,持ち歩くからには,持っているだけでうれしくなるようなカメラであってほしい。
 「お散歩写真」用カメラとして,いろいろなものを使ってきた。それぞれに一長一短あるわけだが,これまでに「お気に入り」として使ってきたカメラを紹介してみよう。

私が,最初に「お散歩写真」用として位置づけたカメラは,「オリンパスXA2」である。特徴は,なんといっても小さいことである。専用ストロボをはずせば,最近のコンパクトカメラに比較しても十分小さい。また,最近のコンパクトカメラでは,精度の高いAF機構のために,レリーズボタンを押してから実際にシャッターが切れるまでのタイムラグが顕著であり,オートストロボを内蔵しているために,不必要な場面で勝手に発光したりして,不便な場面も多いのである。
 「オリンパスXA2」は,なにもないだけに,むしろ使いやすいのだ。ノーファインダーで撮るにも適している。フィルム感度もマニュアル設定なので,露出補正も可能だったりするのだ。最近まで,私の「お散歩」カメラは,この「オリンパスXA2」だった。

「オリンパスXA2」にとってかわって,私の「お散歩」カメラの地位を得たのは,「コレレ」というセミ判スプリングカメラである。たぶん,昭和10年代のものだと思うが,実家を大掃除したらでてきたのだ。スプリングカメラの特徴としては,たたむと非常にコンパクトになることがある。実際に,初期のフルオートコンパクトカメラと大差ないのである。それでいて,立派な中判写真が撮れるのだ。
 私はこれがすっかり気に入ってしまった。しかし,これには重大な欠点があった。1つは,単体の露出計をいっしょに持ち歩かなければならないことである。気軽にお散歩,というにはちょっと辛いものがあった。さらに重大な問題として,蛇腹が破れやすいことがある。古いカメラだけに,何度も折り畳みを繰り返すと,蛇腹の角にピンホールが生じるのだ。光線漏れが起こるたびに補修してきた。面倒だが,そうまでしても使いたいカメラなのである。
 なんといっても,今,こういう古いカメラは,オシャレなグッズなのだ(笑)

しかし,今,私の「お散歩」カメラは,「キエフ4M」である。ロシア製の,戦前型ContaxIIIのコピー機の最終モデルである。実際には,ソ連軍が第2次世界大戦後にドイツから接収した設備で製造していたのだから,基本的には戦前型コンタックスそのものであると言っていいだろう。
 これには,露出計が内蔵されている。これはもちろん,絞りやシャッター速度ダイアルと連動したりしない。しかし,内蔵されていることは,やはり便利なのだ。シャッターボタンの近くにあるギアでピントを調整するのが,非常に快適である。
 「キエフ4M」は,露出計とシンクロが不良ということで購入したものだが,露出計は何度かバラして掃除するうちに,なんとか実用になる値を示すようになった。少し重いが,使いやすく,持っていることがうれしい,「お散歩」用に最適なカメラなのである。


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