撮影日記


1998年09月24日(木) 天気:あめ

コンパクトカメラもおもしろい
〜電池について考える

コンパクトカメラの歴史は,AE化の歴史であるといえるだろう。
 誰でも簡単に確実に写せることが,コンパクトカメラに課せられた使命であった。写真の失敗の原因は何か。ピンボケ,不適切な露出,ブレなどが主なものであろう。これらのうちで,まず解決されたのは露出の自動化である。

自動露出機能は,今ではAE (Auto Exposure)と呼ぶが,以前はEE (Electric Eye)と呼ばれていた。「電子の目」である。もともとカメラは精密機械である。それは多数のバネとギアで構成され,電源は不要であった。しかし,EE機構が登場したときから,カメラは電源が必要な「電気製品」としての性格を併せ持つようになったのである。

初期のEEカメラは,セレン光電池(光が当たると電力が発生する素子)を用いていたため,とくに「電池」を必要とはしなかった。しかし,セレン光電池で得られる電力は微弱なもので,暗くなると露出を測定することや,さらにはシャッターを制御することができない。そこで,測光素子に性能のよいCdSを用いるようになり,安価で小型で性能のよい「水銀電池」がカメラ用の電源として一般化した。水銀電池にも大きさなどによっていろいろな種類があったが,1995年末をもって,日本国内での製造販売は終了した。環境に配慮してのことである。
 一方で,エレクトロニックフラッシュ(ストロボ)の電源としては,単3型マンガン電池が使われてきた。そして,「ピッカリコニカ」やキヤノン「A35デートルクス」など,初期のフラッシュ内蔵コンパクトカメラは,露出計用の水銀電池とフラッシュ用の単3乾電池の両方を必要とするようになった。それも,やがて,2本の単3乾電池でカメラのすべての動作をまかなうようになる。単3乾電池は,まずどこに行っても入手が困難ではないため,またたくまに受け入れられたと言えるであろう。
 フラッシュが内蔵されたカメラは便利であるが,さらに便利に扱えるような工夫が考えられた。フラッシュの急速充電機能である。そのために,リチウム電池がカメラの電源として利用されるようになった。それまで,フラッシュの充電には10秒近い時間が必要であったが,リチウム電池を採用してからは,1〜2秒くらいで充電が完了するようになったのである。

中古カメラ店へ行くと,古く懐かしい機種を目にすることもあるだろう。そういうカメラには,水銀電池を必要とする機種もあるはずだ。
 国内での製造が終了して入手が困難になった水銀電池だが,一部ドイツ製のものが継続して製造され,流通している。また,酸化銀電池SR44を代用品として使うためのアダプタも発売されている。古いカメラを見つけても,あきらめないことだ。


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