撮影日記


1998年09月19日(土) 天気:雨のち曇

コンパクトカメラもおもしろい
〜小さなカメラ
「オリンパスXA」シリーズ

1975年「ピッカリコニカ」以後,いわゆるコンパクトカメラが一気に普及した。そして,1978年「ジャスピンコニカ」,1980年キヤノン「オートボーイ」と,露出,ピント,巻き上げの自動化が進んだ。そして,各社の発売するコンパクトカメラの主力はほぼ画一化されていく。
 しかし,当時のカタログをよく見ると,いろいろユニークなコンパクトカメラもあったことに気がつく。1980年代前半は,ミノルタα-7000が登場する直前の,一眼レフ市場に元気がなかった時代である。また,後半では,勢いを盛り返したカメラ界が,望遠タイプやズームタイプの製品も送りこんできた。この時代のコンパクトカメラについて,あれこれ考えてみるのもおもしろいだろう。
 しかも,この時代の国産コンパクトカメラは現在あまり商品価値がないのだろうか,「ジャンク」扱いされているものが多い。「ジャンク」コーナーに並べられていたとしても,ちゃんと動作するものも珍しくない。とはいえ,ちょっと外見がいたんでるとか,些細な支障があるものが普通なので,分解してネジをしめなおすくらいの道具は持っておいた方がいいだろう。まあ,どのみち1台500円〜800円程度である。2,3個買って,1つ「あたり」なら十分だろう。さあ,いろんなカメラを楽しんでみよう!

まずは,「小さいカメラ」に着目してみよう。1960〜70年代の「ローライ35」や「ミノックスGT」などが有名である。これらは古典的な「沈胴式」カメラであり,3〜5万円くらいの価格がついていることが多い。

小型カメラのデザイン面で1つのエポックメイキングをなした製品としては,1979年に登場した「オリンパスXA」があげられる。ケースやレンズキャップを廃したまったく新しいデザインをもち,専用フラッシュを取りはずし可能にすることで,自動化と小型化を達成している。カメラの小型化には,「前面バリア式」や「レンズ面カバー式」さらには「沈胴式」が組みあわされているが,それらの方法はこの時代にはじまっている。「オリンパスXA」は,小型ながら二重像合致式距離計を内蔵したファインダーをもち,絞り優先AE機構で6枚構成のズイコーレンズ(F.Zuiko 35mm F2.8)をおごった高級機である。状態によっては,いまでも2万円以上の価格がついていることが珍しくない。
 このシリーズのカメラとしては,1980年に登場した廉価版の「XA2」も悪くない。露出はプログラムAE,レンズは4枚構成のD.Zuiko 35mm F3.5とスペックダウンしているが,一般的にはこの方が使いやすいだろう。また,価格もずいぶんと安くなった。ピント調整は目測3点ゾーン式だが,バリアを閉めるとピント位置が3mに戻る。日中の撮影なら,おそらくこれでほぼ無限遠まで被写界深度にはいるだろうし,フラッシュ撮影はたいてい3mくらい離れておこなうはずだ。極めてシンプルだが,少しでも失敗を少なくするよい工夫である。

オリンパスXAシリーズには,5種類のバリケエーションがある。
 初代「XA」(1979)は先述のとおり,二重像合致式距離計内蔵,絞り優先AE,F.Zuiko 35mm F2.8レンズを搭載している。
 「XA2」(1980)は,プログラムAE,3点ゾーンフォーカス,D.Zuiko 35mm F3.5レンズを搭載した下位機種である。なお,1983年には赤,白,青のカラーバージョンも発売されている。
 「XA3」(1985)は,XA2をDXコード対応としたもの。専用フラッシュは1.5秒クイックチャージのA1Lになった。オートデート付モデルも登場。
 「XA4」(1986)は,オートデート付きでレンズをD.Zuiko 28mm F3.5とし,30cmまでの近接撮影を可能にした。
 「XA1」(1983)はシリーズ最廉価版。固定焦点のD.Zuiko 35mm F4を搭載し,露出計はセレン光電池で動作する。レンズの周囲に光電池がある古典的スタイルである。

XA2は中古カメラ店の店頭でよく見かける(ただし,カラーバージョンは稀少品)が,他のモデルは比較的少ない。私としては,入手が容易で安価なXA2をオススメしたい。
 XA2は,私も長年愛用している。描写はまあまあといったところだが,フラッシュをはずせば極めてコンパクトになる点が街のスナップに適している。ノーファインダーで撮るときなんかは,最近のAF機より都合がいい。AF機だと,狙ったものではないものにピントをあわせてくれることがあるのだ。


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