撮影日記


1997年11月10日(月) 天気:晴れ

ギンナンの入っていない
茶わんむしなんて・・・・・

ふつう,茶わんむしには,ギンナンが1個はいっている。私はそのギンナンが大好きだ。
 ところが以前,仕事で北海道へ行ったとき,出てきた茶わんむしにギンナンが入っていなくて悲しい思いをしたことがある。その茶わんむしは,ギンナンのかわりにクリが入っており,しかも非常に味つけが甘かった。いくら甘いものが好きな私でも,クリが入っていて甘い茶わんむしには違和感がある。

さて,昨日の日記に書いたように,日曜日に筒賀村の大イチョウの木を訪れた。大イチョウの木がある筒賀神社の神主さんのお話では,その前日,土曜日にもたくさんの人が訪れたそうだ。
 イチョウは「生きた化石」ともいわれる。中生代に出現し,それ以来,生態があまり変わっていないからだ。イチョウには雄花だけが咲く木と,雌花だけが咲く木がある。
 神社の裏に,別のイチョウがある。背後の広葉樹や手前の屋根瓦の赤い色の中で,黄色が一段と映え,これも美しい。こちらは雌花だけが咲くメスの木であり,ギンナンがなる。ちょうどギンナンがなったところだそうだ。ギンナンがたくさん落ちてきたので,大イチョウを訪れた人のためにとギンナンを袋詰めにしておいていたら,土曜日には多くの人がやってきて,あっという間になくなったという。
 日曜日に私がじっくりと長時間撮影をしていたら,そのギンナンのあまりを1袋わけてくださった。そのときに神主さんから聞いた話を記録しておく。

筒賀村の大イチョウは,筒賀神社の境内にある。かつて,境内はもっと狭く,大イチョウは神社の敷地と隣接する畑の境界付近にあったという。大正8年に国道がつくられた際に,畑を埋めて約1.2メートル盛土をし,神社の境内を広げて今の形になったそうだ。だから,そのままであったなら,大イチョウは今よりも1.2メートル高いことになる。
 畑に隣接してはえていたことから,畑の日当たりを妨げないように,下枝はほとんど切り払われていたそうだ。今,大イチョウがこのような姿になっているのは,そのころ盛んに下枝を切り払ったからかもしれない。そのまま下枝が伸びていたら,枝の裂けやすいイチョウの木は自分の重みであちらこちら折れてしまい,今の美しい姿はなかったであろう。
 筒賀村には広葉樹が少ない。明治時代に町村制がひかれたとき,周辺の山林が村に払い下げられたという。その買取資金をつくるために山の巨木を伐採し,その後に,お金になる針葉樹を植えたそうだ。古くから造林の考えがあったことになる。今では,村有林の緑と私有林の紅葉が見事なモザイクを描いている。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 75mm F5.6, EPN

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