撮影日記


1997年05月26日(月) 天気:わるい

今ふたたび,110カートリッジ

むかし,富士フイルムから「フジカオート5」というコンパクトカメラが発売されていた。5つの自動機能を搭載しているという意味である。その5つは「自動巻き上げ」「自動巻き戻し」「自動露出」「感度自動セット」「フィルム自動装填」である。ただし,ここでいう「自動巻き戻し」は,単にモーターで巻き戻すだけの意味であって,フィルムが終わりになったら勝手に巻き戻しをはじめる,という意味ではない。
 カメラの操作で,もっとも難しいところは「フィルムの装填」だと考えていた人が少なくなかったのだろう。それ以前から,キャノンのQLシステムなどフィルム装填を少しでも容易にしようという試みはあったようだ。

そのような試みの結論の1つに「カートリッジフィルム」がある。たとえば「126カートリッジ」「110カートリッジ」がある。「ディスクシステム」や8ミリムービーの「シングル8」なども,フィルム装填が容易なカートリッジフィルムの1つと言えるかもしれない。なお「110」は「ワン・テン」と読んでほしい。
 「110カートリッジ」フィルムを使うカメラは「ポケットカメラ」と呼ばれていた。画面サイズが非常に小さいため画質はどうしても35mm判にくらべて落ちるが,小さいこととフィルム装填が非常に簡単であることから,かなり普及した。110カートリッジを開発したコダック社から発売されたカメラは,プラスチックレンズを使ったおもちゃのようなカメラばかりで画質の悪さに拍車をかけていたが,国内メーカーからはちょっとした高級モデルも発売された。しかし,35mm判カメラもフィルム装填を含めた自動化がさらに進み,かなりコンパクトな製品も登場するにおよんで,110カートリッジのメリットは次第に薄れていった。110カートリッジが大量に出回ったのは,初代「写ルンです」が最後ではないかと思う。

しかし,現在でも110カートリッジを利用した超小型カメラが非常に安価(数100円程度)に出回っており,中高校生を中心にそこそこ使われているらしい。そのため,少なくなったとはいえ,110カートリッジのフィルムは入手できるし,現像も引き受けてくれる。
 そのせいか,かつて発売されていた国産高級110カメラは,中古市場でそこそこの人気を保っている。たとえば,フジやミノルタのズーム付き110カメラは3〜4万円くらいでみかける。そして,高級110カメラを語る上で忘れてはならないものは「ペンタックス auto110」であろう。35mm判一眼レフカメラをそのまま小さくしたような形態である。交換レンズも広角から望遠,さらにズームなど5種類くらいあった。ワインダーやフラッシュ,クローズアップレンズなど一通りのシステムがそろえられた。これも,ある程度オプションがそろった状態だと,4〜5万円の値段がついていることもあるようだ。

ところで,いつもお世話になっているmahalさんはかつて「ペンタックス auto110」を使っていたらしい。しかし,その後,手放してしまったそうだ。今,それを悔やんで,中古カメラ店を物色されている……。


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